ミグマタイト(英語表記)migmatite

デジタル大辞泉 「ミグマタイト」の意味・読み・例文・類語

ミグマタイト(migmatite)

変成岩花崗岩かこうがんマグマとが混じり合ってできた片麻岩状の岩石。変成岩の一部が溶融してできたものもある。混成岩

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岩石学辞典 「ミグマタイト」の解説

ミグマタイト

ゼーダーホルムによって考えられた岩石で,既存の岩石が再熔融して新しいマグマとなるパリンゼネシス(palingenesis)や,選択熔融によるアナテクシス(anatexis)あるいは溶液花崗岩成分が抽出される機構で形成されたもの[Sederholm : 1913].その後ウェグマンは,地向斜帯の下部で液状のマグマが活動し移動を始める過程で,イオンあるいは分子の粒間拡散を考えた[Wegmann : 1935].さらにリードはミグマ(migma)を通してマグマが形成されると考えた[Read : 1957].花崗岩マグマが片理の間に貫入してできた片麻岩のような複合岩で,全体として2種類以上の岩石学的に異なった部分でできている複合的な岩石[Sederholm : 1907].これらの一方は多少変成作用を受けた母岩で,他はペグマタイト質,アプライト質,花崗岩質あるいは一般の深成岩外観のもの[Sederholm : 1907, Mehnert : 1968].ショイマンは,古い岩石片と液体状態の若いマトリクスが混合した複合岩(composite rock)としている[Scheumann : 1936].中度ないし高度の変成岩地域に産出する岩石で,巨視的なスケールで不均質が残されており,その一部は石英長石質あるいは長石質組成で淡い色をしている.しばしば花崗岩と同様に取り扱われて,特に部分熔融が注目された岩石である.ミグマ(migma)とはギリシャ語で混合の意味で,固体の岩石片と熔融した基部との混合した物あるいは粥(mush)を指している[Reinhard : 1935].ミクタイト(mictite)[Scheumann : 1936].

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改訂新版 世界大百科事典 「ミグマタイト」の意味・わかりやすい解説

ミグマタイト
migmatite

混成岩ともいう。非常に高い温度の変成作用をうけると,岩石は部分的に融解し,そのマグマと高温の変成岩が混ざりあう。こうしてできた岩石をミグマタイトという。部分的に融解してできたマグマの化学組成はだいたいにおいて花コウ岩のそれに近い。また混ざりあうときには,変成岩に層状または脈状にマグマが浸透し,そのマグマと変成岩との境は不明瞭となる場合が多い。そこで見かけ上,縞状片麻岩と似たものになる。このようなミグマタイトがつくられる温度は大体700℃以上と考えられる。岩石に含まれている水分少ないと温度は高くなる。
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百科事典マイペディア 「ミグマタイト」の意味・わかりやすい解説

ミグマタイト

本来は母岩とマグマ(多くは花コウ岩質)とが混じり合ってできた変成岩で,混成岩と同義。ふつうは少し広義に用い,高度の変成作用で母岩の一部(とけやすいケイ長質鉱物)がとけ始めて,一見花コウ岩質マグマと混じり合ったような外観の岩石もいう。
→関連項目混成作用ゼーダーホルム

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世界大百科事典(旧版)内のミグマタイトの言及

【変成作用】より

…これより高い温度では,水分を含んだ岩石は融解がはじまり,連続的にマグマがつくられる。この現象はふつうアナテクシスanatexisと呼ばれ,このようにしてできた岩石はミグマタイト(混成岩)と呼ばれる。また低い温度では再結晶作用が著しくゆっくりと進行するため,見かけ上ほとんど変成作用は起こらない。…

※「ミグマタイト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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