ミナレット(その他表記)minaret

翻訳|minaret

デジタル大辞泉 「ミナレット」の意味・読み・例文・類語

ミナレット(minaret)

モスクに付属する高い塔。そこから礼拝の時が告げられる。アラビア語ではマナーラ(manārah)といい、光または火をともす所の意。「光塔」と訳されることもある。

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精選版 日本国語大辞典 「ミナレット」の意味・読み・例文・類語

ミナレット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] minaret ) イスラム教の寺院(モスク)に設ける細長い尖塔(せんとう)。古くは一寺院に一基であったが、後代には六基まで建てる。一般に一ないし数個の節状のバルコニーをもつ。祝祭日には灯を点ずる。アラビア語名マナーラ(manārah)。光塔。
    1. [初出の実例]「ミナレット(前の拝堂に接する浮屠)を悉く吹き倒せる程なりける」(出典:玉石志林(1861‐64)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「ミナレット」の意味・わかりやすい解説

ミナレット
minaret

イスラムの礼拝堂モスクの構成要素の一つで,ムアッジン信徒祈禱時刻を告げる,いわゆるアザーンを行うための高塔。アラビア語ではマナーラmanāra。日本では〈光塔〉と訳されることもある。沿岸部の灯台,商人,巡礼者等のために設けられた内陸の通商路沿いの物見台,あるいは烽火台が直接の起源であると考えられる。とくにイスラム初期の西アジアにおいて既存のユダヤ教,キリスト教,ゾロアスター教に対して新たに生まれた宗教イスラムを印象づける必要から,その象徴としての機能が賦与された。

 ミナレットは一般に,入口とミフラーブを結ぶ主軸線上,中庭や建物の一角,あるいは入口の両側などに1基ないし数基設けられる。最多例はメッカのマスジド・アルハラーム(聖モスク)の7基。形式は,シリアの教会の鐘楼をモデルとしたと考えられる角柱状(シリア,マグリブ,スペイン),円柱状(イラクイラン,トルコ,中央アジア),両者の折衷形に大別されるが,例外的に螺旋状ミナレット,多角形プランのミナレットなども知られている。また,塔の中間にギャラリーや小テラスを設けた例も少なくない(イラン,アナトリアエジプト)。素材として煉瓦切石が使われるが,煉瓦を使った場合,文様積みにしたり,モザイク・タイルで装飾されることが多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミナレット」の意味・わかりやすい解説

ミナレット
minaret

アラビア語でマナーラ,ペルシア語でミナール,トルコ語でミナーレ。モスクに付属する塔で,上部にバルコニーがつき,内部には螺旋階段がある。イスラムの宗教儀礼として1日5回の礼拝の呼びかけをする場所であるが,実際上モスクの外観を飾る役割も果している。1基から2基1対のもの,その後数基建てる例も現れた。マドラサ (学院) ,墓廟などに付属することもある。「マナーラ」は意味的に光にかかわっており,その起源は灯台であったといわれるが,シリアでのローマ時代の方形望楼,イランでの拝火壇など諸説がある。北アフリカ,スペインでは方形,イラン以東では円形,多角形の幾何学的設計が一般的であり,エジプトでは方形の基部に円塔が載ることが多い。

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百科事典マイペディア 「ミナレット」の意味・わかりやすい解説

ミナレット

モスクに付属して建てられる高塔で,マナーラとも。光を意味するアラビア語のmanaraから転訛した語で,古くは上方に光を点じて標識としたといわれるが明らかでない。僧がこの上から礼拝の時刻の到来を告げる。
→関連項目カイラワーン

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ミナレット」の解説

ミナレット
manār

モスクの尖塔(せんとう)。イスラームでは日に5回礼拝を行うが,その時間を告げる役目を負ったムアッジンが塔に登り,肉声で参集を呼びかけるアザーンを行った。大きなモスクになると複数のミナレットを有するものもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミナレット」の意味・わかりやすい解説

ミナレット
みなれっと
minaret

尖塔(せんとう)と訳されることもある。イスラム建築でモスクに付設されるバルコニーのある高塔。1日5回の礼拝を信者に呼びかけるために使われる。モスクの格によってその数は異なり、最大規模で六基まで建てられ、モスクの構成に変化を与える。その形態は時代と地域によって多様で、古くは単純な角塔か円塔であったが、時代を経るにつれて円塔に角塔を積み重ね、各層ごとにバルコニーを張り出し、土筆(つくし)状になった。

[濱谷勝也]

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旺文社世界史事典 三訂版 「ミナレット」の解説

ミナレット
minaret

イスラム教徒に祈りの時を告げるために建てられたモスクの塔
呼びかけの言葉(アザーン)を唱え,礼拝への参集を促がす施設ではあるが,イスラーム初期には,他の宗教に対して新生イスラームを印象づける必要もあり,そのシンボルという意味もあった。

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世界大百科事典(旧版)内のミナレットの言及

【イスラム美術】より

…また,視覚的にも単調きわまりない環境に取り囲まれた都市などオアシスの集落では造園に力が注がれ,噴水や縦横に配置された水路を基本とした庭園が随所に設けられた。 宗教的な観点からは,礼拝のために地域住民の大部分を収容できるスペースがモスクにまず要求され,さらに,聖地メッカに面する内壁面に設けられ,礼拝の方向(キブラ)を示すミフラーブ(壁龕)が必須条件となり,そのほかに礼拝を指導するイマームの座席ともいうべき階段状のミンバル(説教壇),礼拝に参集すべくムアッジンが信徒に呼びかけを行う高塔ミナレット(マナーラ),礼拝の前に行う潔斎(ウドゥー)のための泉亭ないし水槽などが重要な条件となった。 イスラム世界の建築に見られる閉鎖性の側面は,特に民家の造りに影響を及ぼした。…

【モスク】より

…必要に応じて任意に設置されるものとしては,イマームが説教を行う説教壇ミンバル,為政者用の仕切席マクスーラ,コーランの朗唱者用の台座クルシー・スーラー,折畳み式書見台ラヒールなどがある。また,モスク外部には信徒に祈禱の時刻を告げるための塔ミナレット(マナーラ),通常は中庭(サフン)に設けられる洗浄(ウドゥー)用の水槽や泉亭などが,その規模,数,様式はそれぞれ異なるが,設置される。建物自体の壁面はもちろんのこと,各種の設備から従来用いられてきた吊りランプと燭台,じゅうたんなどの調度品に至るまで,装飾にはもっぱらアラビア文字による銘文,幾何学文,アラベスク(様式化された植物文)が使われ,偶像崇拝に直結する人物像や動物意匠はまったく使用されない。…

【ルピナス】より

…【星川 清親】
[観賞用品種]
 改良種ラッセル・ルピナスRussell Lupinusはイギリス人ジョージ・ラッセルが1937年に作出したもので,シュッコンルーピン(シュッコンルピナスともいう)を片親とする雑種といわれるが,花穂が長く花色が豊富である。オランダで改良されたミナレットMinaretteは花色が豊富で,高さ30~40cmの矮性(わいせい)種で,鉢植え,花壇向き。宿根草ではあるが秋まき一年草として取り扱い,最近では市販品が多い。…

※「ミナレット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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