ミミズク(英語表記)Ledra auditura

改訂新版 世界大百科事典 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク
Ledra auditura

半翅目ミミズク科の昆虫。名は鳥類のミミズクに由来し,栗本丹洲(1756-1834)の《干蟲譜》に初めて見えるので,おそらく彼の命名であろう。胸部背方にある1対の突起葉状に張り出して,ミミズクの耳羽に似ており,この耳状突起は雄よりも雌のほうが大きい。体長14~18mmで,頭部前方で葉片化する。体色は黄褐色に濃色部を混じえ,樹幹部に静止するときには目だたない。生活史の詳細は明らかでないが,おおよそ夏から秋にかけて,樹幹部に産卵管で裂け目をつくり,植物組織中に産卵。越冬した卵は5~6月に孵化(ふか)し,新成虫は8月に出現する。クヌギコナラ,シイ,エゴノキなど広葉樹上で生活する。日本では本州以南,国外では台湾,韓国,中国にも分布する。ミミズク科Ledridaeにはほかに日本から,コミミズク,ホシコミミズク,ヒラタミミズクの3種が知られている。すべて幼虫は扁平な体型をしている。
執筆者:


ミミズク (木菟)

フクロウ目の鳥のうち,一般に羽角(外耳状の羽冠)のあるものをミミズクと呼び,羽角のないフクロウ区別する。しかし,この区別は分類学的な根拠のあるものではなく,またアオバズクのように羽角がないのにズクの名をもつものや,反対に羽角があるのにフクロウの名があるシマフクロウのような例もある。日本産のフクロウ目の鳥でミミズクまたはズクの名のつくものは,ワシミミズクトラフズク,コミミズク,コノハズク,オオコノハズク,アオバズクの6種である。
フクロウ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミミズク」の意味・わかりやすい解説

ミミズク
Ledra auditura

半翅目同翅亜目ヨコバイ科ミミズク亜科。体長 (翅端まで) は雄 14mm,雌 18mm内外。全体は暗褐色ないし赤褐色で,樹皮に似る。頭部は扁平で幅広く,前方に突出する。複眼は後側方にあり,小さいが突出する。前胸背は大きく,その後部に1対の耳状突起があり,雄では小さく上方に突出するが,雌では大きく前上方に向くことがある。小楯板 (しょうじゅんばん) は平たく,翅鞘は半透明。後肢脛節は扁平で外縁に鋸歯がある。クヌギ,ナラなどにつくが,その数は多くない。本州,四国,九州,琉球列島,朝鮮,台湾,中国に分布する。コミミズク Ledropsis discolorは小型で細長く,前胸背上に耳状突起はない。 (→ヨコバイ )

ミミズク
owls

フクロウ目フクロウ科のなかの,頭部に羽角(耳羽ともいう,耳介のように見える突き出た羽毛)をもつ種の総称。羽角は聴覚とはまったく関係ない。一般に「…ズク」というが,「…フクロウ」と呼ぶ鳥と明確に区別されているわけではない。シマフクロウのように「…フクロウ」と名のつくものでも羽角があるものや,アオバズクのように「…ズク」と名のつくものでも羽角がないものもある。(→猛禽類

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android