ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コノハズク」の意味・わかりやすい解説
コノハズク
Otus sunia; Oriental scops owl
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フクロウ目フクロウ科の鳥。〈仏法僧(ブッポウソウ)〉と鳴くということで有名で,古来ブッポウソウという別の鳥と混同されていた。今日,コノハズクのことを〈声のブッポウソウ〉というのはこのためである。全身褐色で濃い斑が散在し,木の葉というよりも枯葉の色である。なお,この種には,羽色が灰色がちの灰色型と,赤褐色に富む赤色型の2型がある。これらは遺伝による型であって,地方,雌雄,老幼などの違いによるものではない。赤色型はカキズクの別名がある。羽角(うかく)は小さく,ふだんは目だたないが,緊張するとそれを立てる。ユーラシア中部以南およびサハラ以南のアフリカに分布し,日本では深い森林で繁殖している。冬は南へ渡去するが,少数は越冬する。全長約20cm,日本のフクロウ類の中では最小。日本では主として昆虫類を食べているが,他の地方のものはコウモリ,小鳥,ネズミ類もふつうにとる。5,6月に天然の樹洞中に1腹4~5個の卵を産む。コノハズク属には34種あり,全世界に広く分布している。
執筆者:竹下 信雄
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鳥綱フクロウ目フクロウ科の鳥。「ブッポーソー」(仏法僧)と鳴く声の主。ユーラシア中部以南、アフリカ中部以南、マレー諸島の一部に分布する。日本では、北海道から沖縄諸島、先島(さきしま)諸島にまで分布しており、奄美(あまみ)大島以南のものは留鳥、それ以外のものは夏鳥である。全長約20センチメートル、全体に褐色の羽色をしており、上下面ともに暗褐色の縦斑(じゅうはん)がある。虹彩(こうさい)は黄色。よく茂った森林にすみ、夜、ゴミムシ、オサムシ、バッタ、コガネムシなどの昆虫類をとって食べる。沖縄諸島、先島諸島のものは、人家付近の林にも生息しており、密度が非常に高い。これらの地方のものは鳴き声が異なり「コホッ、コホッ」としか鳴かない。樹洞を巣とし、球形に近い白色卵を4、5個産む。巣箱を利用することもある。抱卵は雌だけが行い、育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。近縁種にオオコノハズクO. bakkamoenaがいる。コノハズクよりも一回り大きく、虹彩は赤っぽい。クウィーという声で鳴く。
[樋口広芳]
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…大プリニウス《博物誌》の鳥に関する記述には,これら卜占官から得た知見が生かされている。中世ヨーロッパでも鳥の吉凶占いは広く実践され,鳥が家へ飛びこんでくれば凶,ホトトギスの初鳴きを路上で聞けば凶,またコノハズクが1度鳴けば死を,2度で計画の成就を,3度で結婚を予告する,などと伝えられる。なお,キリスト教伝説にはカラドリウスCaladriusという霊鳥が語られ,病人がこの鳥を直視できれば生き永らえうるといわれた。…
※「コノハズク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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