シマフクロウ(その他表記)Bubo blakistoni; Blakiston's fish owl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマフクロウ」の意味・わかりやすい解説

シマフクロウ
Bubo blakistoni; Blakiston's fish owl

フクロウフクロウ科全長 60~71cm。頭側にほとんど横向きになった羽角をもつ大型のフクロウ。胸と背は灰褐色黒色の縦斑が連なり,細かい横斑が密にある。は風切が褐色と灰褐色の縞模様で,雨覆は各羽毛の縁が白く,内部が褐色の鱗模様をなしている。虹彩は黄色。大部分のフクロウ類と異なり,飛んでいるときに大きな羽音がする。中国北東部からシベリア南東部,アムール川流域,オホーツク海沿岸,サハリン島北海道分布する。河畔林や湖畔林,北方では海岸などにすみ魚類を主食とするが,カエルやウサギ,鳥類も捕食する。北海道には 2010年現在,140羽ほどが生息しているとされるが,うち繁殖しているのはおよそ 20つがいと推測される。繁殖には体の大きさに見合った大きな樹洞が必要だが,そのような樹木のある森が少ない。(→ミミズク猛禽類

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百科事典マイペディア 「シマフクロウ」の意味・わかりやすい解説

シマフクロウ

フクロウ科の鳥。翼長52cm。巨大なフクロウ類で褐色に斑があり,耳羽をもつ。シベリア極東部,沿海地方,中国東北部,北海道などに分布。北方の亜寒帯にすむ唯一の魚食性フクロウで,サケ・マス類を始めさまざまな魚類,カエルのほか,ザリガニネズミ,鳥などを捕食する。営巣大木の樹洞で行う。アイヌ語コタンコルカムイと呼ばれて神とされ,かつては北海道各地の森林に生息していたが,近年,森林開発や河川改修,漁労の影響で激減した。天然記念物。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目知床フクロウミミズク(鳥類)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シマフクロウ」の意味・わかりやすい解説

シマフクロウ
しまふくろう / 島梟
Blakiston's fish-owl
[学] Ketupa blakistoni

鳥綱フクロウ目フクロウ科の鳥。シベリア東部、中国東北部、朝鮮半島、樺太(からふと)(サハリン)、北海道に分布する。全長約50センチメートル、全体に淡灰褐色をしており、褐色の縦縞(たてじま)や横縞がある。虹彩(こうさい)は黄色。北海道では針広混交林やエゾマツの針葉樹林にすむが、数は少ない。夜間に魚や中・小形の哺乳(ほにゅう)類、ザリガニなどをとって食べる。太くてよく通る「ブッブボー」という声で鳴き、雌雄で鳴き交わすこともある。巨木の樹洞に営巣する。

[樋口広芳]

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