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ミュッセ Musset, (Louis Charles) Alfred de

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ミュッセ
Musset, (Louis Charles) Alfred de

[生]1810.12.11. パリ
[没]1857.5.2. パリ
フランスの詩人,劇作家。高い文学趣味をもった家に生れ,幸福な幼年時代をおくり,ユゴーやノディエらに紹介されて,ロマン派の寵児として早くから知られた。処女詩集『スペインとイタリアの物語』 Contes d'Espagne et d'Italie (1829) のほか,劇作にも筆を染め『ベネチアの夜』 La Nuit vénétienne (30) を発表。 1833年 G.サンドと恋に落ち,戯曲戯れに恋はすまじ』 On ne badine pas avec l'amour (34) ,『ロレンザッチョ』 Lorenzaccio (34) を完成するが,ベネチアでの悲恋に終った。以後の作風は内省的な深みを帯び,詩集『夜』 Nuits (35~37) ,自己の悲恋を題材にした唯一の小説『世紀児の告白』 La Confession d'un enfant du siècle (36) などの代表作が書かれた。ほかに,詩集『ローラ』 Rolla (30) ,戯曲『マリアンヌの気まぐれ』 Les Caprices de Marianne (33) ,『気まぐれ』 Un Caprice (37) など。

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百科事典マイペディアの解説

ミュッセ

フランスの詩人,劇作家,小説家。処女詩集《スペインイタリアの物語》(1830年)で名をあげ,豊かな感受性と洗練された作風によってロマン派(ロマン主義)の寵児(ちょうじ)となった。
→関連項目ダンディズム

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世界大百科事典 第2版の解説

ミュッセ【Alfred de Musset】

1810‐57
フランスの詩人。ロマン派の詩人のなかで最も正統的な教育を受けた。アンリ4世高等学校の学友には,七月王政の国王ルイ・フィリップの子息や,後のセーヌ県知事オスマン男爵などがいる。文学に志し,C.ノディエのアルスナルのサロンなどで,若い芸術家たちとも交友関係ができるが,真の友人たちは〈黄金の青春〉と呼ばれた上流社会の放蕩ほうとう)息子たちであった。1830年,処女詩集《スペインとイタリアの物語》で,一躍輝かしい青春の詩人として注目を集め,同年12月にはオデオン座で繊細な恋愛劇《ベネチアの夜》が上演されたが,不評に終わる。

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大辞林 第三版の解説

ミュッセ【Alfred de Musset】

1810~1857) フランス-ロマン派の詩人・劇作家。才気と感受性にみちた青春詩人として出発し、のちに内省的な作品を書く。ジョルジュ=サンドとの恋愛は有名。詩集「スペインとイタリアの物語」、小説「世紀児の告白」、戯曲「戯れに恋はすまじ」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ミュッセ
みゅっせ
Alfred de Musset
(1810―1857)

フランス・ロマン派の詩人、劇作家、小説家。12月11日パリに生まれる。父は官吏でジャン・ジャック・ルソーの研究家でもある。アンリ4世校を抜群の成績で卒業、級友の一人でユゴーの義弟ポール・フーシェPaul Foucherを通じてロマン派の集い「セナークル」cnacleに入る。アルフレッド・タッテAlfred Tattetのような金持ちで教養あるダンディを友とし、早くから蕩児(とうじ)として知られる。1830年、18歳からの作品を集めた処女詩集『スペインとイタリアの物語』を出版。官能的、背徳的な空想力と早熟なアイロニーで「ロマン派の恐るべき子」とみなされた。同年、オデオン座での処女戯曲『ベニスの夜』の初演は主演女優のミスから惨憺(さんたん)たる失敗に終わり、以後作品の舞台化を断念する。32年父を失って放蕩生活を反省、二つ目の詩集『肘掛椅子(ひじかけいす)で見る芝居』を出版するが、ここには放蕩と純粋な愛をめぐる、この作家の中心的テーマが早くも現れる。翌33年女流作家ジョルジュ・サンドを知り2人はベネチアに旅するが、この恋愛によって放蕩の習慣を断ち切ろうとした決意はむなしく、そのうえ大病にかかり、彼を看護した医師パジェルロPagelloに愛人サンドを奪われる。サンドとの仲はその後幾度か再燃したが35年最終的に決別、この不幸な恋愛は詩人の心に傷を残した。以後、女優のラシェルやアラン夫人Mme Allan、詩人のルイーズ・コレLouise Colet(1810―76)など数多くの愛人をもち、恋愛詩人としての生涯を送る。
 創作面では1834~36年ごろがもっとも稔(みの)り多く、のちに『新詩集』に収められた悲歌の傑作「夜」の四つの連作(1835~37)や「想(おも)い出」(1841)には、恋愛の苦悩にまみれながらも「幸福の追憶」という人生の至宝を手に入れるために、あくまで恋愛を追求しようとする詩人の生き方が示される。そのほか、ロマン派との決別を宣した『デュピイとコトネの手紙』(1836~37)や自伝的小説『世紀児の告白』(1836)も生まれた。戯曲では『マリアンヌの気紛(きまぐ)れ』(1833)、翌34年にはロマン派劇の最高傑作といわれる史劇『ロレンザッチョ』Lorenzaccioをはじめ『戯れに恋はすまじ』On ne badine pas avec l'amour、『ファンタジオ』が出版され、40年『喜劇と格言劇』に収められた。47年コメディ・フランセーズでのアラン夫人主演『気紛れ』Un caprice(1837)がミュッセ劇再評価のきっかけをつくり、以後彼の戯曲は次々と脚光を浴びたが、上演上の制約を無視して書かれたためにかえって新鮮で自由な詩情を保ち、今日なお魅力を失わない。52年アカデミー会員。古典的教養と心理的直観力に優れていたが、詩の分野では心情吐露を唯一の主義としたため作品の生命は早く衰え、今日ではむしろ劇作家としての評価が高い。57年5月2日パリで没。[佐藤実枝]
『進藤誠一訳『戯れに恋はすまじ』(岩波文庫) ▽小松清訳『初期詩集(抄) 新詩集(抄)』(『世界名詩集大成2』所収・1960・平凡社) ▽加藤道夫訳『マリアンヌの気紛れ』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内のミュッセの言及

【喜劇】より

… 歴史主義的な19世紀には,歴史喜劇も一時期流行したが,写実的で社会や時代を風刺した喜劇(H.vonクライストの《こわれ甕》,A.S.グリボエードフの《知恵の悲しみ》,N.ゴーゴリの《検察官》)が生まれた。また,ロマン派の喜劇では世界苦の時代を背景に個人の複雑な心理を描くA.ミュッセの喜劇は,悲劇的な色合いをもつユニークなものである。19世紀後半は商業演劇が隆盛をきわめた時代であり,娯楽的な写実劇,サロン喜劇,会話喜劇,陰謀喜劇などがウェルメード・プレーの技法によって数多く生産されたが,その最も典型的なのはブールバール劇であろう。…

【心臓弁膜症】より

…最大血圧は高く,最低血圧は低くなる。詩人のA.deミュッセがこの病気にかかり,絶えず首をうなずくように振っていたので,大動脈弁閉鎖不全患者が重症となってこの症状が出現すると,〈ミュッセの所見あり〉という。心臓はよく適応するが,いったん心不全に陥ると急激に悪化するので,動悸,息ぎれなどの自覚症状が生じた場合,心臓カテーテル法あるいは超音波心エコー法・ドプラー法などの検査を受けて逆流状態と左心室拡大の状態をみて弁置換手術を受ける必要がある。…

【ロマン主義】より

…とりわけルソーの書簡体小説《新エロイーズ》や自伝的な作品《告白録》がその代表とされる。恋愛を中心とする自己の感情の起伏や精神的苦悩を主人公に仮託して描く自伝文学は,ロマン主義文学の中でも主要な位置を占め,ゲーテの《若きウェルターの悩み》,シャトーブリアンの《ルネ》(1802),セナンクールの《オーベルマン》(1804),コンスタンの《アドルフ》へと継承され,ミュッセの《世紀児の告白》(1836)へと受け継がれる。この系譜の中からは,激変する社会の現実と自己の存在との乖離(かいり)を感じ,愛に満たされず何かを求め続け現実から逃避していく〈世紀病mal du siècle〉を病んだロマン派的魂の典型が浮かび上がる。…

【ロマン派演劇】より

…悲劇に美のみならず,崇高と怪奇をとりいれて生の真実を示そうとするのが彼の演劇論の骨子であったが,現実の舞台で上演される劇作としては破綻(はたん)を示したのである。むしろ上演を前提とせずに幻想を遊ばせたL.C.A.deミュッセは,《戯れに恋はすまじ》や《ロレンザッチョ》のような作品で,告白的要素の強い深化された心理を表現することに成功し,その作品は晩年になって舞台にかかるようにもなった。 ロマン派演劇のなかには,さまざまな要素において,近代,現代の演劇を先取りしている点があった。…

※「ミュッセ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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