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ミルズ ミルズMills, C(harles) Wright

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ミルズ
Mills, C(harles) Wright

[生]1916.8.28. テキサス,ウェーコ
[没]1962.3.20. ニューヨーク,ニアック
アメリカの社会学者。テキサス大学大学院で修士課程を終え,ウィスコンシン大学で学位を取る。 1945年までメリーランド大学,その後はコロンビア大学で教授をつとめ,かたわら精力的に論筆をふるい,アメリカの左翼運動に影響を与えた。プラグマティズムを思想的な原点とし,H.H.ガース,M.ウェーバーの影響を受けている。社会階層の分析から,特に中間階級の研究に進み,『ホワイト・カラー』 White Collar: The American Middle Classes (1951) を出版し,さらに『パワー・エリート』 The Power Elite (56) でアメリカ支配階級を分析し,現代のアメリカの大衆社会のネガティブな側面をきびしい形で明るみに出し,現代大衆社会論の展開に貢献した。同時に彼は T.パーソンズに代表される社会体系論に対しても,その統合・均衡理論に基づく一般理論を「誇大理論」として激しく批判し,みずからはマルクス主義への理解を深めていったが,46歳で死去した。その他著書『社会学的想像力』 The Sociological Imagination (59) ,『マルクス主義者たち』 The Marxists (62) 。

ミルズ
Mills, Robert

[生]1781.8.12. サウスカロライナ,チャールストン
[没]1855.3.3. ワシントンD.C.
アメリカの建築家,ギリシア・リバイバル様式の推進者。チャールストン大学卒業後,T.ジェファーソンや B.ラトローブから石造建築の基本を学ぶ。サウスカロライナ州の公共事業委員,さらにワシントン D.C.の公共建築の建築家に指名されて,数々の秀作を残した。そのデザインは実用性を重んじ,新古典主義的な単純明快な形式のうえに,構造上の大胆な試みを加えたものである。作品は劇場火災の犠牲者 70人のための記念聖堂 (1812~14,リッチモンド) ,公文書館 (1822~27,チャールストン) ,財務省舎 (1836~42,ワシントン D.C.) ,ワシントンモニュメント (1848,チャールストン) 。

ミルズ
Mills, Wilbur Daigh

[生]1909.5.24. アーカンソー,ケンセット
[没]1992.5.2. アーカンソー,ケンセット
アメリカの政治家。 1933年ハーバード大学法学部を卒業。 39年アーカンソー州選出の連邦下院議員 (民主党) ,58年歳入委員長。下院の長老で強い発言力をもった。 70年4月には繊維,履物の輸入割当てを定める通商法案 (ミルズ法案) を提案,日米繊維交渉にも大きな役割を果した。 77年民間企業の税理顧問となった。

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デジタル大辞泉の解説

ミルズ(Charles Wright Mills)

[1916~1962]米国の社会学者。現代米国における強大な統治機構と大衆社会状況を批判的に分析。著「ホワイト‐カラー」「パワーエリート」など。

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百科事典マイペディアの解説

ミルズ

米国の社会学者。コロンビア大学教授。米国社会を批判的に考察し,労働組合指導者層の体制内化,新中間層の官僚制化とアパシー,また意志決定への参与が支配層の中の一群の派閥的グループに集中する権力構造など,総体的分析に力を注いだ。
→関連項目エリート

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世界大百科事典 第2版の解説

ミルズ【Charles Wright Mills】

1916‐62
アメリカの革新的な社会学者。1941年ウィスコンシン大学で博士号をとり,メリーランド大学準教授となる。第2次大戦後46年から没年まで,コロンビア大学の教授。出世作は《ホワイトカラー》(1951)だが,つづく《パワー・エリート》(1956)ではアメリカ社会の支配構造を分析し,激しく糾弾した。またT.パーソンズを頂点とするアメリカ社会学界の正統アカデミズム(構造‐機能分析)と鋭く対立しつづけ,《社会学的想像力》(1959)で論難した。

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大辞林 第三版の解説

ミルズ【Charles Wright Mills】

1916~1962) アメリカの社会学者。アメリカの権力構造の批判的分析を行なった。著「パワー-エリート」「社会学的想像力」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ミルズ
みるず
Charles Wright Mills
(1916―1962)

アメリカの社会学者。テキサス州に生まれる。大恐慌に続くニューディール期に20歳代を過ごしながら、テキサス大学で学部と大学院修士課程を終え、ウィスコンシン大学の大学院博士課程に進む。1941年に博士号を得る。メリーランド大学、ついで第二次世界大戦後はコロンビア大学で教職につき、1962年3月20日心臓病のため急死するまで、短い期間ではありながら、研究調査活動あるいは著作や講演に、ヨーロッパや旧ソ連、中南米諸国にまで足を伸ばし活躍を続けた。
 ミルズの初期の思想の基盤となったのはベブレンとデューイであり、とくにデューイのプラグマティズムは、ミルズの生涯を通じて、その実証主義的な行動を重視する研究姿勢の支柱となった。ウィスコンシン大学でドイツから亡命してきた社会学者ガースHans Heinrich Gerth(1908―1978)と会ってマックス・ウェーバーの存在を教えられ、ミルズのなかでアメリカ的プラグマティズムとヨーロッパの古典的社会学とが結び付けられた。
 ミルズが学問的に活躍した1950年代のアメリカは、第二次世界大戦後の安定と経済的繁栄を謳歌(おうか)しながら、社会構造的には、強大な支配統治機構と、私的生活に没入しながら実は「組織人」化していく人々のつくりだす大衆社会状況とに二極化しつつあった。ミルズの学問的関心は、まず、その底辺層のプエルト・リコ移民および労働者階級の研究に向けられ、ついで中間層の実証的調査研究に進み、代表的著作の一つ『ホワイト・カラー』(1951)を生む。そして1956年、ミルズはその最大の労作とされる『パワー・エリート』を著して、アメリカの大衆社会状況の頂点に君臨する権力機構の中核を、批判的に分析した。それは、アメリカ社会およびアメリカ社会学界の既成の理念に対する一大衝撃であり、ミルズ自身の内部に生じたと思われる思想的変化と相まって、この時期以後、学界からしだいに孤立し、親交のあったガースからも離れて、学問的には異端者の道を歩み始める。
 その後のミルズは、自らの内部における自己主張と自己批判との相克に悩みながら、メキシコ、キューバ、ソ連への訪問を契機に、しだいに反体制的なラディカル社会学radical sociologyに傾斜し、死の前年には『キューバの声』を著して明瞭(めいりょう)に革命の側にたち、その後のアメリカのラディカル社会学派のある意味での先導者的な役割を演じた。[杉 政孝]
『杉政孝訳『ホワイト・カラー』(1957/改訂版・1971・東京創元社) ▽鵜飼信成・綿貫譲治訳『パワー・エリート』上下(1958/UP選書・1969・東京大学出版会) ▽鈴木広著『ミルズの理論』(新明正道監修『現代社会学のエッセンス』所収・1971/改訂版・1996・ぺりかん社)』

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世界大百科事典内のミルズの言及

【ホワイトカラー】より

…アメリカの社会学者ミルズC.W.Millsの出世作で1951年刊。20世紀になって注目されはじめた新中間層を,その服装上の特徴からホワイトカラーととらえ,その実態をアメリカの中間層に対する具体的な調査にもとづいて鋭く分析した。…

【エリート】より

…このようにして,人間性そのものが組織内での少数支配者に優越した地位を与えるというのである。 C.W.ミルズは1950年代のアメリカの権力構造を明らかにするために,制度論的要素を重視した。ミルズは〈重大な結果を伴うような決定を下しうる地位〉を占めている人々をパワー・エリートと呼び,政治・経済・軍事のおのおのの頂点にいるパワー・エリートが,相互に密接な関連をもってアメリカを支配していると指摘した(《パワー・エリート》1956)。…

【新中間層】より

…そのような〈存在と意識〉のゆえに,彼らは〈体制への同一化〉を行い,賃金労働者に対しては〈権力を媒介する役割を果たす〉傾向が強い。したがって,C.W.ミルズが指摘したように,〈新中間層は,政治的に後衛的な意識と行動様式をとる〉傾向を有する。しかしながら,新中間層にあっては,今や職場の官僚化も進み,その結果,労働のみならずパーソナリティまでもが合理化の対象とされるなかで,人間個人としての合理性や自主性の喪失が深刻である。…

【ホワイトカラー】より

…アメリカの社会学者ミルズC.W.Millsの出世作で1951年刊。20世紀になって注目されはじめた新中間層を,その服装上の特徴からホワイトカラーととらえ,その実態をアメリカの中間層に対する具体的な調査にもとづいて鋭く分析した。…

※「ミルズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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