ミルズ(英語表記)Charles Wright Mills

デジタル大辞泉 「ミルズ」の意味・読み・例文・類語

ミルズ(Charles Wright Mills)

[1916~1962]米国の社会学者。現代米国における強大な統治機構と大衆社会状況を批判的に分析。著「ホワイト‐カラー」「パワーエリート」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ミルズ」の意味・わかりやすい解説

ミルズ
Charles Wright Mills
生没年:1916-62

アメリカの革新的な社会学者。1941年ウィスコンシン大学で博士号をとり,メリーランド大学準教授となる。第2次大戦後46年から没年まで,コロンビア大学の教授。出世作は《ホワイトカラー》(1951)だが,つづく《パワー・エリート》(1956)ではアメリカ社会の支配構造を分析し,激しく糾弾した。またT.パーソンズ頂点とするアメリカ社会学界の正統アカデミズム(構造-機能分析)と鋭く対立しつづけ,《社会学的想像力》(1959)で論難した。プラグマティズムから出発したミルズは,しだいにマルクス主義に接近したが,理論面での統合は,その急死で実現しなかった。
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百科事典マイペディア 「ミルズ」の意味・わかりやすい解説

ミルズ

米国の社会学者。コロンビア大学教授。米国社会を批判的に考察し,労働組合指導者層の体制内化,新中間層の官僚制化とアパシー,また意志決定への参与が支配層の中の一群の派閥的グループに集中する権力構造など,総体的分析に力を注いだ。方法論的にはM.ウェーバーマルクスフロイトの影響が顕著。主著《ホワイトカラー》《パワーエリート》。
→関連項目エリート

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世界大百科事典(旧版)内のミルズの言及

【ホワイトカラー】より

…アメリカの社会学者ミルズC.W.Millsの出世作で1951年刊。20世紀になって注目されはじめた新中間層を,その服装上の特徴からホワイトカラーととらえ,その実態をアメリカの中間層に対する具体的な調査にもとづいて鋭く分析した。…

【エリート】より

…このようにして,人間性そのものが組織内での少数支配者に優越した地位を与えるというのである。 C.W.ミルズは1950年代のアメリカの権力構造を明らかにするために,制度論的要素を重視した。ミルズは〈重大な結果を伴うような決定を下しうる地位〉を占めている人々をパワー・エリートと呼び,政治・経済・軍事のおのおのの頂点にいるパワー・エリートが,相互に密接な関連をもってアメリカを支配していると指摘した(《パワー・エリート》1956)。…

【新中間層】より

…そのような〈存在と意識〉のゆえに,彼らは〈体制への同一化〉を行い,賃金労働者に対しては〈権力を媒介する役割を果たす〉傾向が強い。したがって,C.W.ミルズが指摘したように,〈新中間層は,政治的に後衛的な意識と行動様式をとる〉傾向を有する。しかしながら,新中間層にあっては,今や職場の官僚化も進み,その結果,労働のみならずパーソナリティまでもが合理化の対象とされるなかで,人間個人としての合理性や自主性の喪失が深刻である。…

【ホワイトカラー】より

…アメリカの社会学者ミルズC.W.Millsの出世作で1951年刊。20世紀になって注目されはじめた新中間層を,その服装上の特徴からホワイトカラーととらえ,その実態をアメリカの中間層に対する具体的な調査にもとづいて鋭く分析した。…

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