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新中間層 しんちゅうかんそうnew middle strata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

新中間層
しんちゅうかんそう
new middle strata

高度産業化社会において,新たに出現してきた中間層のこと。マルクス主義によれば,資本主義社会における社会階級生産手段を有する資本家階級ブルジョアジー)と生産手段から疎外されている労働者階級プロレタリアート)の二大階級からなる。そしてその中間に位置する自営業(中小商工業者),自作農,専門職など,生産手段は所有するが労働者を雇用はしない階級を中間階級旧中間層)とし,最終的には資本家階級と労働者階級に両極分解していくものととらえた。しかし,現実には 20世紀後半の先進資本主義社会,特に 1960年代以降の高度産業化社会においては,みずからは生産手段を所有せず,官庁や企業などに雇われて事務職,管理職,専門職,教職などに従事するホワイトカラーが増大し,「新中間層」を形成していった。その背景としてはマルクス主義的解釈では説明できない大きな変化が 2点みられる。まず第1に,産業が高度に発達した社会においては階級,職業間の移動,社会経済的地位の変動が激しくなり,もはや階級の境界線がはっきり存在しなくなり,社会階層という概念のほうが現実社会に適合するようになった。第2に,旧中間階級は徐々にその規模が小さくなっていくものの消滅はせずに,また新中間層は逆に急激に増大し高度産業化社会における生産活動の中心的存在となったことである。今日では同質の意識と生活様式をもった多数の中間層(中間大衆)の拡大により,中流意識と生活保守主義の心性が社会全体に浸透するようになったことが問題とされている。日本でも経済学者村上泰亮の『新中間大衆の時代』によって,1960年代以降の中間階層部分をさす用語として用いられるようになった。保身性と批判性をあわせもつのが特徴で,日本政治の保守化傾向に大きな影響力を及ぼしたといわれる。

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百科事典マイペディアの解説

新中間層【しんちゅうかんそう】

資本主義が高度に発達した20世紀的条件下で,社会成層の中間的部分に新しく登場した階層。旧中間層と異なる,ホワイトカラー労働者をさす。ブルジョアジーとプロレタリアートの間で浮動し階層分化をする不安定な社会的部分であるとされた。
→関連項目中間層プティ・ブルジョアミルズ

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世界大百科事典 第2版の解説

しんちゅうかんそう【新中間層 new middle class】

資本主義社会の基本的特徴の一つは〈階級社会〉である。原理的にいえば,資本と賃労働を基軸に,資本主義社会は〈生産手段を所有する資本家階級(ブルジョアジー)〉と〈労働力商品の担い手である労働者階級(プロレタリアート)〉とに両極分解を遂げ,それ以外は両者の中間に位する〈中間階級〉ないしは〈中間層〉として把握される。それとともに,この中間層の〈一部が資本家階級に,その他は労働者階級に〉というかたちをとる階級分解が不断に進行することで,ついには中間層の自己消滅をみる,と解される。

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大辞林 第三版の解説

しんちゅうかんそう【新中間層】

技術者・管理職・専門職・事務職など、産業化と官僚化の進行に伴って形成され増大する階層。新中間階級。新中産階級。 → 旧中間層

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

新中間層
しんちゅうかんそう

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世界大百科事典内の新中間層の言及

【階級】より

…マルクスとエンゲルスが当時立てていた見通しによれば,資本主義の発展とともにブルジョアジーは強大になるけれども,これにともなってプロレタリアートはそれよりはるかに大量になり,組織化され,ブルジョアジーに対する闘争力を高め,最後にはプロレタリアートが階級闘争の勝利者になる,とされた。
[新中間層問題]
 マルクスとエンゲルスの階級両極分解説は,20世紀初頭にいたって,彼らが想定していなかった新しい事態としての新中間層問題によって挑戦を受けることになった。新中間層というのは,ブルジョアジーとちがって所有者・経営者でなく,プロレタリアートとちがって肉体(マニュアル)労働者でなく,農民・小工業者・小商人(これらの人びとは〈新〉中間層と区別するために〈旧〉中間層と呼ばれるようになった)とちがって自営業者でもない,中等以上の学歴をもってノンマニュアル業務に従事するホワイトカラー職員である。…

【中間層】より

…K.マルクスが解明した資本主義の基本法則によって,ブルジョア化とプロレタリア化という基本的な二大階級にみずからを分解させる傾向を一方にみせつつも,全体としては必ずしも縮小から衰滅の道を示していないこと,他方,これとは異なる主として管理,事務,販売業務などに携わるサラリーマン層を中心とした,俗に〈ホワイトカラー〉と呼ばれる新しい様態の中間層が登場してき,しかもそれが増大化の一途をたどり,社会的人口の圧倒的多数化を予測させるにいたったことである。そこで前者を〈旧中間層〉,後者を〈新中間層〉と呼んで区別するようになった。 かくて資本主義社会における〈中間層問題〉は,かつては旧中間層の分解と没落が問題の中心をなしてきたが,旧中間層の衰滅が歴史的現実の動態では必ずしもないということと,新中間層の登場およびその増大化の事実が,中間層の社会的性格を問題とする方向に転換させていった。…

※「新中間層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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