ムルタン(英語表記)Multān

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムルタン
Multān

パキスタン北東部,パンジャブ州,ムルタン県の工業都市,県都。ラホールの南西約 300kmに位置する。古くはアレクサンドロス大王が占領 (前 326) したマリーの王都と伝えられる。7世紀にはシンド地帯を支配したカッチ朝のもとで繁栄。 712年シンドから北進したムハンマド・イブン・カーシムの率いるカリフの軍に占領され,以後はインドにおけるイスラム教徒の拠点となった。旧市街は6つの門をもつ城壁に囲まれ,アジア最大のドームの一つをもつシャー・ラクエアラームをはじめ,多数の廟やモスクがある。綿工業を中心に,製油,ガラス,繊維などの工業があるが,近年は 250km南西のスイとガス・パイプラインで結ばれて大火力発電所が建設され,重工業化が進んでいる。周辺のバリドアブ地域で栽培されるワタコムギイネなどの農産物の集散や,伝統的な織物,製陶などの手工業も盛ん。パンジャブ大学のカレッジ,ムルタン大学本部などがある。人口 73万 2070 (1981) 。

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デジタル大辞泉の解説

ムルタン(Multan)

パキスタン中部、パンジャブ州の都市。インダス川の支流チャナーブ川とサトラジ川の間に位置する。古代より西アジアと北インドを結ぶ交通の要地。8世紀のウマイヤ朝侵入後、イスラム教が広まり、イスラム聖者の霊廟シャールクネアーラム、モスクなどが多い。ムルターン

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムルタン
むるたん
Multan

パキスタン中部、パンジャーブ州南部の中心都市。人口118万2441(1998)。北インドと西アジアおよびパンジャーブ地方とシンド地方を結ぶ二つの交通路上の要衝として栄えてきた。とくに8世紀のアラブ人の侵入後、北西インドにおけるイスラム教中心地として発展した。12~14世紀の5人のイスラム教聖者の墓廟(ぼびょう)がある。旧市とその北と西に広がる新市に分かれ、城壁に囲まれた旧市には興亡を繰り返した都市遺跡が残っている。小麦、綿花などの農産物を集散し、じゅうたん、皮革品、陶器などの伝統工業や、製油、紡績、医療機器などの工業がある。近年、天然ガスの供給を受けて、大火力発電所、製鉄、機械などの重工業も立地しつつある。

[応地利明]

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