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メルシエ Mercier, Désiré Joseph

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

メルシエ
Mercier, Désiré Joseph

[生]1851.11.21. ブレンラル
[没]1926.1.23. ブリュッセル
ベルギーのローマ・カトリック哲学者,枢機卿。マリーヌ神学校とルーバン大学で学び,1874年司祭。 77~82年マリーヌ神学校哲学教授。回勅「エテルニ・パトリス」に従って,82年ルーバン大学に設置されたトマス哲学の講座の初代教授となった。 94年大学内に高等哲学研究所を創立して所長となり,『新スコラ学雑誌』 Revue néoscolastiqueを創刊,ルーバンは新スコラ哲学の中心地となった。 1906年マリーヌ大司教,07年枢機卿となり,第1次世界大戦中はドイツの侵略に反対してベルギー国民の代弁者となった。 19年招かれてアメリカとカナダを訪問。教会合同運動にも関心を示し,21~25年マリーヌでイギリス国教会との対話を行なった。現代科学の成果を積極的に取入れつつトミズムの現代化に尽力し,新カント派,実証主義など当時の哲学の主潮を批判。長らく低迷していたキリスト教の哲学を興隆させた功績は大きい。主著『現代心理学の起源』 Les origines de la psychologie contemporaine (1897) ,『哲学要説』 Traitéélémentaire de la philosophie (2巻,1905,共著) 。

メルシエ
Mercier, Honoré

[生]1840.10.15. ローワーカナダ,サンタナス
[没]1894.10.30. モントリオール
カナダの政治家。ケベック州首相 (在任 1887~91) 。フランス系カナダ人の権利を強力に擁護したことで知られる。ジャーナリストと弁護士を経て,1872年国民党からカナダ下院に選出された。 83年ケベック自由党党首となり,州権主義を主張して保守党を破り,ケベック州の政権を担当するが,彼のあまりにも過激な言動はイギリス系カナダ人の反発を買ったばかりではなく,連邦および他州の自由党とも相いれなかった。

メルシエ
Mercier, Louis Sébastien

[生]1740.6. パリ
[没]1814.4.25. パリ
フランスの劇作家,ジャーナリスト,小説家。ディドロの「市民劇」にならって『ジェヌバル』 Jeanneval (1769) ,『脱走兵』 Le Déserteur (70刊,82上演) ほか多くの戯曲を書き,『演劇論』 Essai sur l'art dramatique (73) でディドロの理論を発展させた。また未来小説『2440年』L'An 2440 (70) では,大胆な発想と鋭い感受性を示している。ほかに,社会風俗の記録と種々のエッセーから成る大著『パリ風景』 Le Tableau de Paris (12巻,81~88) がある。ロマン主義運動の先駆者の一人で,古典主義を激しく攻撃した。

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世界大百科事典 第2版の解説

メルシエ【Louis‐Sébastien Mercier】

1740‐1814
フランスの劇作家小説家年代記作者。パリに生まれ,パリで死去した。多作で,演劇の分野ではディドロの〈ブルジョア劇〉理論の影響のもとに《演劇論》(1773)ほか50編近い戯曲を書いた。生涯ルソーを心の師と仰ぎ,パリの都市文明を批判する一方で,民衆の生活に深い共感を寄せる。長編小説《2440年》(1770)は現実のパリのかなたに想定された未来都市を描くユートピア文学で,SF小説の先駆と評価されている。

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世界大百科事典内のメルシエの言及

【ユートピア】より

…モレリー《自然の法典》(1755),コンドルセ《人間精神進歩の歴史的素描》(1795)などは,厳密にはユートピア論とはいいがたいものの,理想社会の接近を読者に印象づけた。L.S.メルシエ《2440年,別名こよなき夢》(1770)はこの世紀の代表例である。同時代の啓蒙専制国家を母体とした,多数の上からの国家改造計画にもその傾向があらわれている。…

※「メルシエ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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