メートル(その他表記)meter

翻訳|meter

デジタル大辞泉 「メートル」の意味・読み・例文・類語

メートル(〈フランス〉maître)

先生親方。長。
メートルドテール」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「メートル」の意味・わかりやすい解説

メートル
meter

長さの単位で,記号はm。国際単位系のなかの基本単位の一つである。このメートルに接頭語をつけた単位ミリメートル(1mm=10⁻3m),センチメートル(1cm=10⁻2m),キロメートル(1km=103m)はよく用いられている。メートルは,1790年のフランスでのメートル法制定の動きに伴い,地球子午線測定が行われて,極と赤道間の距離の1000万分の1と定義がなされ,メートル原器が製作された。メートルが国際的に初めて制定されたのは1889年の第1回国際度量衡総会のときで,このとき前述の原器をもとに,白金イリジウム合金国際メートル原器が製作され承認された。このほかにメートル原器はいくつも製作され,メートル条約加盟国に配布され,1960年にメートルの定義が変わるまで用いられてきた。

 60年には,クリプトン86原子の光による定義が採択され,この定義はその後83年まで用いられている。これは,この光の波長の何倍かを1mとするもので,正確には次のとおりである。〈メートルは,クリプトン86の原子の準位2 p10と5d5との間の遷移に対応する光の,真空中における波長の1650763.73倍に等しい長さである〉。一方,レーザーが出現して以来,レーザー光を長さの標準に用いようとする研究が進められてきた。現在では,レーザー光の波長と周波数の同時測定から,光の速さが,光の速さ=波長×周波数の式により,精度よく求められるようになり,定数であって不変の光の速さが299792458m/sであることが確認されるに至った。

 長さ=速度×時間であるから,定数である光の速さと時間を用いれば長さが導かれることになり,新しいメートルの定義が検討され,83年の国際度量衡総会で次のような新定義が採択された。〈メートルは,1秒の299792458分の1の間に光が真空中を伝わる行程の長さである〉。新しいメートルの実現には,もっとも定義に近い,時間を測定して光の速さとの積から長さを求める方法以外に,光の周波数を測定して,光の速さ÷周波数で波長を求める方法や国際的に認められたやり方でレーザーや従来のクリプトン86などの光を発生させ,その波長値に勧告された値を用いる方法がある。光の波長値および周波数値はいくつも勧告されており,例えば,ヘリウム-ネオンレーザーの赤外光の波長は3.3922313970μm,赤色光の波長は632.9913981mmなどがある。さらに,これらレーザー光との周波数差が精度よく測られた光ならば,その光を用いてもよいとされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メートル」の意味・わかりやすい解説

メートル
めーとる
mètre フランス語
metre 英語
meter 英語

メートル法および国際単位系(SI)の長さの単位で、また基本単位。記号はm。語源は、計器または計ることを意味するギリシア語のmetron、またはラテン語のmetrumで、1793年フランス共和国政府によって採用された。このとき1メートルは、パリを通過する子午線の北極から赤道までの長さの1000万分の1とすることと決定され、ダンケルクとバルセロナ間の実地測量に基づいて算出された値により、最初の原器がつくられた。その後1872年の国際会議で、メートルはこの原器を基礎とすることが決定され、これに基づいて1889年に国際メートル原器と副原器および各国原器がつくられ、メートルはこの国際メートル原器によって定義された。1960年にはこれがクリプトン86のオレンジ色の光の波長の1650763.73倍と変更された。その後レーザー技術や周波数測定技術の発達により、1983年の国際度量衡総会において、1メートルは、光が真空中を299792458分の1秒間に進行する長さ、と変更された。実際にこの定義を現示する方法として、多くの安定化レーザーの波長と周波数が勧告されている。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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百科事典マイペディア 「メートル」の意味・わかりやすい解説

メートル

長さのSI基本単位。記号m。メーターとも。1790年フランスでメートル法制定にあたり地球子午線の赤道から北極までの1000万分の1を1mときめた。1792年―1798年子午線の測定が行われ,その結果に基づき1799年白金製の標準器〈メートル・デ・ザルシーブ〉が作られた。1875年のメートル条約でこれをもとにして作った国際メートル原器の長さにより1mを規定。1960年(日本では1961年)から〈1mは,クリプトン(Kr)86の原子の準位2p1(/0)と5d5との間の遷移に対応する光の,真空における波長の1650763.73倍に等しい長さ〉と定義を改めたが,さらに1983年の国際度量衡総会で,光速度を299792458m/sと規定することによって,〈1mは,1秒の299792458分の1の間に光が真空中を伝わる行程の長さである〉という定義が採択された。
→関連項目メートル法

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知恵蔵 「メートル」の解説

メートル

国際単位系(SI)の基本単位の1つであり、1983年の国際度量衡総会の決議による定義では「メートルは、1秒の2億9979万2458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである」。この定義は、現代の科学技術において最も精密に一定の長さを指定するために採択されたものであり、1 mの長さそのものは1889年のメートル原器による定義以来変更はない。人類共通の単位系を設けようという提案(1790年)に応えて種々の候補案が国際的に討議された際、地球の寸法を基に長さの単位を決める案が採用され、子午線の4分の1(北極から赤道まで)の1000万分の1を実測によって定めたものがメートル。この長さは原器に記録され100万分の1の精度で保存されてきたが、現在では上記の定義により約1兆分の1の精度で再現することができる。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メートル」の意味・わかりやすい解説

メートル
meter

長さのSI基本単位。記号は m 。 1m は1秒の2億 9979万 2458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである (1983年国際度量衡総会) 。それまでは,1960年の総会で決められたクリプトン 86 原子の準位 2p10 と 5d5 との間の遷移に対応する光の真空中における波長の 165万 763.73倍に等しい長さであった。単位名はギリシア語のメトロン (尺度) に由来する。 (→メートル原器 )

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単位名がわかる辞典 「メートル」の解説

メートル【mètre〈フランス〉】

長さの国際単位。記号は「m」。1mは1秒の2億9979万2458分の1の時間に光が真空中を進む距離。したがって、光の速度は299792458m/sとなる。1795年に地球の子午線の4分の1(北極から赤道まで)の1000万分の1と定められたが、1983年の国際度量衡総会で、メートルを光の波長で定義すると決定された。

出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報

化学辞典 第2版 「メートル」の解説

メートル
メートル
meter, metre

長さの単位の一種.国際単位系(SI単位)の基本単位の一つ.光が真空中で(1/299792458)秒の間に進む距離,と定義されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のメートルの言及

【現場監督者】より

…職場の労働者を統率し,職場の課業の遂行を指揮する立場にある人を指し,第一線監督者first line supervisorともいう。たとえば,日本の職長,アメリカやイギリスのフォアマンforeman,ドイツのマイスターMeister,フランスのメートルmaître,北欧や東欧やロシアのメイステルmeisterがこれに相当する。 現場監督者は産業組織内のその立場からして,生産能率やその他の労働関係に対して重要な要素をもち,今日では〈産業のキーマン〉ともいわれている。…

【単位】より

…エレは,布地などの寸法を測るための〈単位〉の一種だからである。 さて,エレに限らず,メートル,秒,アンペアなどの多種類の単位があるが,それらの意味や機能を考える前に,〈物事を数量的に表現するためのさまざまなことば〉をひとまとめに吟味しておくことにしよう。例えば,うそ八百,万巻の書,1杯のコーヒーといったいいならわしには,それぞれ独特な味わいが感じられるが,まず,うそ八百を検討してみる。…

※「メートル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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