ダンケルク(読み)だんけるく(その他表記)Dunkerque

デジタル大辞泉 「ダンケルク」の意味・読み・例文・類語

ダンケルク(Dunkerque)

フランス北部、オー‐ド‐フランス地方のさらに北端にあるドーバー海峡に面した港湾都市鉄鋼業が盛ん。第二次大戦中の1940年、ドイツ軍に敗れたイギリス・フランス軍が劇的撤退をした地。

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精選版 日本国語大辞典 「ダンケルク」の意味・読み・例文・類語

ダンケルク

  1. ( Dunkerque ) フランス最北部、ドーバー海峡に面した港湾都市。背後に工業地帯をひかえる。九世紀から発展し、一四~一六世紀にかけてオーストリアスペインに領有された。第二次世界大戦初期の一九四〇年、ドイツ軍に追いつめられたイギリス、フランス両軍の大撤退作戦の激戦地

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンケルク」の意味・わかりやすい解説

ダンケルク
だんけるく
Dunkerque

フランス北部、ノール県の都市。人口7万0850(1999)。ベルギー国境に近く、ドーバー海峡に面し、フランス第3の貿易港を有する。鉄道や道路、運河が集まる交通の要地で、ブリューエ・アンナルトア、ランス、リール、ルーベー、トゥールコアンドゥエバランシェンヌドナンなどの都市とともにフランドル工業地帯を形成している。この地帯には、フランス第1位の出炭量を誇る北フランス炭田があるため、ダンケルクには鉄鋼を中心とした臨海コンビナートがつくられている。また石油精製所、火力発電所などもあり、港湾施設の拡張整備も進んで工業発展の基盤が整備されている。その他の工業としては造船、セメント、食品などが盛ん。

[高橋伸夫]

歴史

7世紀に聖エロアが礼拝堂を建て、960年ごろにフランドル伯が防壁を築いた。ダンケルクの名はフラマン語の「砂丘の教会」に由来し、1067年に史料に初出するが、当時は小漁港にすぎなかった。1384年からはフランドル伯領とともにブルゴーニュ公国に属し、1477年からはオーストリア、ついでスペインの支配を受けた。1646年にフランスが初めて占領するが、その後スペイン、ふたたびフランス、ついでイギリスの支配に属し、1662年になってフランスの支配が確立した。17世紀末には著名な海軍軍人ジャン・バールJean Bart(1650―1702)が、ここを根拠地としてイギリスおよびオランダとの海戦に活躍する。1713年のユトレヒト条約で防壁は撤去されたが、のちに再建され、1793年のイギリス軍の包囲に耐えた。19世紀、とりわけ第三共和政期には港湾都市として目覚ましく発展した。第二次世界大戦中の1940年、ドイツ軍の猛攻下に英仏連合軍33万5000人がここからイギリスへの撤退を遂行したことは有名である。

[江川 温]

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改訂新版 世界大百科事典 「ダンケルク」の意味・わかりやすい解説

ダンケルク
Dunkerque

フランス北部ノール県の港湾・工業都市。人口7万2333(1999)。第2次大戦による壊滅の後再建され港湾が拡充されて,貨物輸送量約4000万t(1980),フランス第3の港である。1960年代以降,既存工業(精油,造船,製鉄など)の発展に加え,ユジノールUsinor製鉄や石油化学企業などの新規立地がみられ,郊外隣接市町村をあわせて一大臨海工業地帯を形成している。中世に漁村として成立した後,フランドル,ブルゴーニュ,オーストリア,スペインなどの支配の下に要塞拠点となった。1662年,ルイ14世によりイギリスから買い戻され,ボーバンにより要塞施設を強化された。1713年,ユトレヒト条約に従って港湾機能が停止されたが,83年のベルサイユ条約による港湾機能の復活に伴い,商業港(ブドウ酒,蒸留酒輸出)として発展を取り戻した。第2次大戦中の1940年5月末から6月初めにかけてドイツ軍に追いつめられた英仏連合軍約34万人が激戦の末(ダンケルクの戦)乗船撤退した港として有名である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダンケルク」の意味・わかりやすい解説

ダンケルク
Dunkerque

フランス北部,ノール県,ドーバー海峡にのぞむ港湾・工業都市。北部工業地帯を後背地にもつ,同国の主要港の一つ。名称はフラマン語で「砂丘の教会」を意味し,7世紀に建てられた聖堂に由来するといわれる。 14~17世紀にはフランドル,ブルゴーニュ,オーストリア,スペインなどと,次々に支配者が代り,1662年にフランスに帰属した。第1次世界大戦では,ドーバー海峡掌握をめざすドイツ軍にたびたび攻撃された。第2次世界大戦では大撤退作戦で知られる。北方を砂州で保護され,ドックをはじめ各種施設と,交通網の完備した良港で,石油,石灰,リン酸塩,鉱石,繊維などの工業原料を輸入し,金属製品,砂糖,穀類,化学製品,布などを輸出する。港を中心に製鉄,石油,造船,食品などの工業が発達。北郊のマロレバンは海水浴場として有名。人口7万 1071 (1990) 。

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百科事典マイペディア 「ダンケルク」の意味・わかりやすい解説

ダンケルク

フランス北部,ノール県の都市。ドーバー海峡に臨む港湾都市。鉄道,運河の中心で,製鉄,製油,繊維,食品などの工業が行われる。960年に城塞(じょうさい)が築かれ,オーストリア,スペイン,英国などの支配を経て,1662年にフランス領。第2次大戦中の激戦地。6万9274人(2006)。都市圏人口18万2973人(2006)。→ダンケルク撤退作戦

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デジタル大辞泉プラス 「ダンケルク」の解説

ダンケルク〔映画〕

2017年の映画。オランダ・フランス・アメリカ・イギリス合作。原題《Dunkirk》。監督・脚本:クリストファー・ノーラン。出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデンほか。第二次大戦中の1940年、ドイツ軍に敗れたイギリス・フランス軍がイギリスへの撤退を遂行した「ダンケルクの戦い」を3つの視点から描く。

ダンケルク〔戦艦〕

《Dunkerque》フランス海軍の戦艦。ダンケルク級の1番艦。1935年進水、1938年就役の高速戦艦。同型艦にストラスブールがある。第二次世界大戦中の1942年、ドイツ軍の侵攻のためドック内で自沈処理。戦後の1945年に浮揚・解体された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ダンケルク」の解説

ダンケルク
Dunkerque

フランス北部,ドーヴァー海峡に面する港湾都市
鉄道・運河の集まる交通の要地。第二次世界大戦初期の1940年5〜6月,ドイツ軍に追いつめられたイギリス・フランス連合軍30余万が船で奇跡的に脱出したことで有名。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ダンケルク」の解説

ダンケルク
Dunkerque

ドーヴァ海峡に臨むフランスの港市。古くから交通の要衝として知られるが,第二次世界大戦の初期1940年5月末,ドイツ軍に敗れた英仏連合軍がここから劇的に撤退したことで知られる。

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