共同通信ニュース用語解説 「モンシロチョウ」の解説
モンシロチョウ
シロチョウの一種で、白い羽に黒い
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シロチョウの一種で、白い羽に黒い
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鱗翅目シロチョウ科の昆虫。世界中に分布する典型的なシロチョウで,日本全国にふつう。翅の開張は5cm前後。春型は小さく,雄は雌より小さい。名のように前翅に黒い紋がある。英名はその色からsmall whiteという。北アメリカ,オセアニアなどにはヨーロッパ人の進出,開拓などに伴って侵入,定着した。日本にも縄文時代の終りに,農耕を営む人々によってアジア大陸から栽培植物とともにもたらされたとする説が有力である。森林にはすまず,明るい畑地や荒地を好み,食草も野草よりはキャベツ,ダイコンの葉を選好する。幼虫はキャベツの大害虫として著名である。このためアメリカではcabbage white,cabbage butterflyという。大発生のあとに大移動現象がみられるのも本種の特徴。さなぎで越冬し,年に少なくとも3回,好環境下では7回も発生する。アゲハチョウとともに,理科教材や実験材料としてよく利用される一方,春の季節指標の一つとして初見の記録が行われるが,最近市街地ではスジグロシロチョウが増えてきて混同されることが多くなった。
近縁種のタイワンモンシロチョウA.canidiaは,中央アジア以東,朝鮮半島まで広く分布するが,日本では対馬の特産種となっている。日本本土に定着しえなかったのは,おそらくアブラナ科の野生植物に選好性が強いため,より大型のスジグロシロチョウなどに駆逐されてしまったためであろう。前種よりやや小型(開張4.5~5cm)で,翅に丸みがあり,後翅表面外縁に黒紋列が出る。さなぎで越冬し,年に約6回発生する。
執筆者:高倉 忠博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
昆虫綱鱗翅(りんし)目シロチョウ科に属するチョウ。北海道より南西諸島にわたり全国的に分布する普通種で、アゲハ(ナミアゲハ)とともに一般にもっともよく知られたチョウである。奄美(あまみ)諸島以南の南西諸島にはもともと生息しなかったもので、これがすみついたのは比較的近年のことである。国外ではユーラシア大陸の暖帯から寒帯に広く分布するが、亜熱帯から熱帯的な気候の地にはほとんど生息しない。現在、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドにも定着したが、これはヨーロッパから二次的に侵入したもので、本来土着のものではない。台湾には1960年ごろに侵入し、土着のタイワンモンシロチョウよりも普通種となった。はねの開張45~65ミリメートル程度。はねの地色は白色、数個の黒紋がある。和名は「紋のあるシロチョウ」の意で、「紋の白いチョウ」の意ではない。雌のはねの表面は若干の黒い鱗粉を装い、雄に比べてやや色が暗い。寒冷地で年に2~3回、九州あたりの暖地では6~7回の発生を繰り返す。
幼虫の食草はアブラナ科、キャベツ、ダイコンなどの栽培種・野生種のほとんどすべてが食草となるが、とくにキャベツを好み、その被害がひどい。俗に「アオムシ」とよばれるのはモンシロチョウの幼虫である。アブラナ科以外のフウチョウソウ科(セイヨウフウチョウソウ、ハリフウチョウソウ、ギョボク)、ノウゼンハレン科(ノウゼンハレン)に幼虫がつくことがある。蛹(さなぎ)の状態で冬を越すのが常態であるが、暖地では幼虫で越冬する場合もある。
[白水 隆]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典 小学館の図鑑NEO[新版]昆虫小学館の図鑑NEO[新版]昆虫について 情報
…卵が産みつけられてから,春秋なら約25日,盛夏なら15日前後で成虫が現れ,年間数回の世代を繰り返す。昔からモンシロチョウの重要な天敵として知られ,モンシロチョウが北アメリカやニュージーランドなど新しい土地に侵入し大害を与えた際,このハチが天敵として人工的に導入されたこともある。日本でも,圃場(ほじよう)で採集したモンシロチョウの幼虫を飼育していると,ときには80%以上がこのハチに寄生されていることがある。…
… 日本産は3亜科に分けられる。モンシロチョウ亜科は白地の翅に黒色,黄色,橙色などの斑紋をもつものが多く,代表的なものにはモンシロチョウ類,ツマキチョウ類,エゾシロチョウ類とツマベニチョウがある。モンシロチョウ類には,白い地色が淡黄色に変わる遺伝型のあることが知られている。…
…翅の開張は5.2~6cm。飛翔(ひしよう)中はモンシロチョウと混同されやすいが,後翅裏面の翅脈が黒く(名の由来),その基部に黄色の丸い紋があることで容易に区別しうる。雄は強烈な香気を発する。…
※「モンシロチョウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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