ヤクート語(読み)ヤクートご(英語表記)Yakut

翻訳|Yakut

精選版 日本国語大辞典 「ヤクート語」の意味・読み・例文・類語

ヤクート‐ご【ヤクート語】

〘名〙 チュルク語方言一つ。レナ川流域で話される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヤクート語」の意味・わかりやすい解説

ヤクート語 (ヤクートご)
Yakut

ロシア連邦,レナ川流域に分布するチュルク語。ロシア連邦内にいるヤクート族の約95%の母語。もともとツングース族で,のちにヤクート語を話すようになったドルガン族も含めると,ヤクート語の話し手は31万7174人となる。サハ(ヤクート)共和国では,ヤクート族とドルガン族を合わせても40%弱で,ロシア人よりも少し少ない。同国以外にも,クラスノヤルスク地方北部,マガダン州サハリン州,アムール州に住む。言語の系統はチュルク諸語に属し,チュバシ語ほどではないが,他のチュルク諸方言から著しく孤立している。それは,他のチュルク諸方言との接触が長い間断たれたことと,ツングース諸語エベンキ語(方言))の影響を受けたことによる。長母音と二重母音は原始チュルク語の長母音音素の反映である。例:aaт〈名〉(トルコ語ad),кÿöл〈湖〉(トルコ語göl)。母音調和が発達し,o,öのあとにはo,öが来る。例:oГoлop〈子どもたち(oГoは子ども)〉。属格接辞がなく,-нaн(トルコ語-dan)という造格接辞と-лыын(トルコ語-len~-lan)という共格接辞がある。動詞接辞に,トルコ語の-mışに当たる-ɕыт,同じく-mazに当たる-ap~-ыыpがある。モンゴル語からの借用語が30%に達する。トナカイ関係語彙,動物語彙,自然現象語彙にエベンキ語が使われる。1929年にローマ字正書法ができたが,39年にはロシア文字正書法に変わった。
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百科事典マイペディア 「ヤクート語」の意味・わかりやすい解説

ヤクート語【ヤクートご】

ロシアのサハ共和国中心ヤクート人の間で話されているチュルク諸語の一つ。ロシア字正書法による文章語が行われている。近隣モンゴル諸語ツングース諸語の影響が著しく,また,母音の長短区別など,言語体系の諸面で他のチュルク諸語にみられぬ特徴を示す。話し手の数約36万人。
→関連項目ヤクーツク

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤクート語」の意味・わかりやすい解説

ヤクート語
ヤクートご
Yakut language

チュルク諸語の一つで,他とは離れてロシア,サハ共和国のレナ川流域に話されている。地域的にのみならず,言語的にも他のチュルク語とはかなり違っており,チュルク祖語にあったと推定される長母音を保っているなどの特異点がある。 O.ベートリンクの研究 (1851) により有名。話し手約 30万人。他にシベリア北部のドルガン人も用いている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤクート語」の意味・わかりやすい解説

ヤクート語
やくーとご
Yakut

サハ語

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