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ヤマノイモ

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栄養・生化学辞典の解説

ヤマノイモ

 [Dioscorea japonica],[D. batatas].ヤマイモともいうユリ目ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年生つる草.ジネンジョ(Japanese yam)もこの一種.地下にできるイモを収穫して食用にする.

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百科事典マイペディアの解説

ヤマノイモ

ヤマイモとも。日本に栽培あるいは自生する,根を食用とするヤマノイモ科ヤマノイモ属多年草の総称。一般に栽培されているものをナガイモといい,自生しているものをジネンジョ(自然薯)ということが多い。
→関連項目いも(芋/藷/薯)トコロとろろ芋ヤムイモ

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食の医学館の解説

やまのいも【ヤマノイモ】

《栄養と働き》
 大別してジネンジョ、ダイジョ、ヤマノイモの3種があります。いずれも蔓性(つるせい)の多年草です。
 ジネンジョは日本原産で、根と茎の中間的な性質をもち、形も細長く、非常に粘りがあり、山野に自生しています。
 ダイジョは東南アジア原産で、熱帯や亜熱帯地域に自生する種類です。わが国では沖縄、南九州などで多く栽培されています。
 ヤマノイモは中国原産で、ナガイモ群、イチョウイモ群、ヤマトイモ群の3つの品種があります。市場に出回っているのはおもにこの3品種です。
 なかでもナガイモがもっとも栽培量が多く、馴染み深いヤマノイモといえます。イチョウイモは、扁平(へんぺい)な形をしていて皮が淡褐色です。関東地方ではこれをヤマトイモと呼ぶことがあります。ヤマトイモは別名をツクネイモといい、おもに近畿・中国地方で栽培されています。水分が少なくて強い粘質をもっているのが特徴です。
〈血糖値を下げ、糖尿病予防にも効果あり〉
○栄養成分としての働き
 栄養成分的には、それぞれに若干のちがいがありますが、総じていえるのは、でんぷん分解酵素のアミラーゼ酸化還元酵素カタラーゼが豊富ということです。これにより新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にし、疲れた胃を助けて疲労回復、滋養強壮(じようきょうそう)に効果的です。
 ヤマノイモの特性でもあるヌルヌルしたヌメリには、ムチンという成分が含まれています。この成分には、粘膜(ねんまく)を潤し、保護する働きがあるので、消化酵素とともに滋養強壮に有効です。
 そのほか、コリンという成分が新陳代謝をよくし、サポニンという成分がコレステロールを取り除く働きをして、血液中の脂質が酸化するのを防ぎます。
 こうした作用によって水分の代謝を活発にし、腎臓(じんぞう)の機能を高めます。さらに、高血圧を予防するのにも効果的です。
 食物繊維も多いので便秘(べんぴ)解消にも役立ちます。
 薬効成分は山野に自生しているジネンジョがもっとも多く、味もいいといわれています。
《調理のポイント
 ヤマノイモは、イモ類のなかでも唯一、生食できるイモなので、栄養成分の損失を心配せずに食べることができます。
 すりおろしてとろろにして食べるのが一般的ですが、千切りにして酢のものやサラダに入れたりしてもいいでしょう。
 アクがあるので、調理するときは、皮を厚くむき、酢水につけてから用います。加熱をすると消化酵素の働きが落ちるので、とろろ汁をつくるときは、だし汁の温度を40~50度に冷ましてから入れましょう。
○注意すべきこと
 アレルギー体質の人は避けたほうがよいとされているので、多食を避けましょう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ヤマノイモ【yam】

ヤマノイモ科ヤマノイモ属植物の食用とされる地下部の通称,または日本に自生する1種の標準和名。単にヤマイモ,または英名にイモをつけてヤムイモともいわれる。 ヤマノイモ属Dioscorea植物は全世界の熱帯を中心に数百種が知られ,養分を貯蔵する地下茎や担根体あるいは葉腋(ようえき)に,むかごをつける。このため世界各地で数十種が食用として利用され,数種が重要な食用作物に育成されている。野生種の大部分の地下貯蔵器官は,多量のアルカロイド(ディオスコリンdioscorine),サポニン(ディオスキンdioscin)やタンニンを含有していたり,木質化してかたい。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヤマノイモ
やまのいも / 山芋
[学]Dioscorea japonica Thunb.

ヤマノイモ科の多年生つる草。茎は細長く、数メートルに伸びて分枝し、他物に絡みつく。葉は対生。茎葉の形状は畑に栽培されるナガイモと酷似するが、葉身と葉柄の接点にナガイモは赤斑(せきはん)があるが、ヤマノイモには赤斑はないので区別することができる。雌雄異株。7~8月、葉腋(ようえき)から花序を出す。雄花穂は2、3本ずつ直立して長さ約5センチメートル、白い小花を多数開く。雌花穂は長さ約10センチメートルで垂れ下がる。果実は直径1センチメートルほどの3枚の翼をもった(さくか)で、3室があり、各室に2個の種子がある。晩秋に果壁が裂けると円形の薄い羽をもった扁平(へんぺい)な種子が飛散する。また夏秋には茎の上方の葉腋に、径約1センチメートルの球・長球形のむかごがつき、地面に落ちて、繁殖子となる。地下部には、いも、すなわち担根体ができる。いもは長さ1メートル余にもなり、地際(じぎわ)は細く、深い所ほど太くよじれており、ナガイモより細い。いもの肉質は白く粘りが強い。このいもの頂部から春に萌芽(ほうが)し、いもは夏までに消失して秋までに新しいいもができる。
 古くは、いもといえば本種のことであったが、農業開始のころから日本に入って栽培化されたいもを里芋と称したのに対し、本種はヤマノイモ(山の芋)、または単にヤマイモ(山芋)とよばれるようになった。また、自然に生えるいもの意味でジネンジョ(自然薯)ともよばれる。秋冬の山菜として好まれている。[星川清親]

利用

いもは粘りが強いのですりおろし、調味してとろろ汁にする。そのほか煮物、いも粥(がゆ)などにする。成分は水分約70%、タンパク質2.8%、脂質0.7%、炭水化物は26%、灰分1%。カリウムは100グラム中540ミリグラムで、ジャガイモ、サツマイモよりやや多い。ビタミンはB1、B2、ナイアシン、Cなどを含む。栄養的に優れ、古来、精のつく食物とされている。またジアスターゼを含むのも特徴で、消化の悪い麦飯にとろろ汁をかけて食べる風習は、消化促進の効果をもつわけである。
 漢方ではいもを山薬(さんやく)とよび、滋養強壮の効果のほか、すりおろして腫(は)れ物、やけど、しもやけ、歯痛などに外用される。[星川清親]

文化

現在のヤマノイモは栽培種のナガイモDioscorea batatas Decne.も含めて俗称されることが多いが、ナガイモは中国原産で、江戸時代から記録され、それ以前の山芋は自生のヤマノイモ、別名自然薯(じねんじょ)である。『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(901ころ)は中国名の薯蕷(しょよ)に山伊毛(やまいも)をあて、『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)は「薯蕷一名山芋、夜萬都以毛(やまついも)、俗にいう山乃以毛」とした。有史前から食用にされたと思われるが、考古学的な証拠はまだみつかっていない。文献上は『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(733)に大原郡の山野の草木の一つとして取り上げられているのが、もっとも古い。『延喜式(えんぎしき)』(927)では、草餅(くさもち)や生薬(しょうやく)として名がある。粥(かゆ)にも入れられ、江戸時代にサツマイモが導入される以前の芋粥は本種が使われた。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)は、『今昔物語』(12世紀)のヤマノイモの粥をもとに『芋粥』を書いた。[湯浅浩史]

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世界大百科事典内のヤマノイモの言及

【いも(芋∥薯∥藷)】より

…そして農耕開始以前には,野生いも類は人類にとって重要な食料源であった。人類が食用として利用している植物のうち,地下貯蔵器官を利用しているのは1000種以上にのぼるが,その大部分は日本でのクズ,ワラビ,ヤマノイモのように野生種を採集利用しているもので,また,それらの多くは食用とするためにはつき砕き水洗してデンプンを集めたり,水さらしをして毒抜きをしなければならない。作物として栽培されているものでも,キャッサバの苦味品種群のように青酸配糖体を含有していて有毒で,食用に供するためには毒抜きを必要とするものがある。…

【ナガイモ(長芋∥薯蕷)】より

…いもを食用とするために栽培されるヤマノイモ科の多年草。ヤマイモ,ヤマノイモとも呼ばれるが,本州以南の山野に自生し,ジネンジョとも呼ばれるヤマノイモD.japonica Thunb.とは別種とされる。…

【半夏生】より

…〈ハンゲの後に農なし〉などともいう。作業に一段落つけてから数日間の農休みをとり,餅をついたり,だんご,すし,麦こがし,まんじゅうなどを作って食べる所が多いが,ヤマノイモやサバ(鯖)を食べる所もある。休養と栄養をとって体力の充実をはかろうとしたものであろう。…

【薬用植物】より

…また類似した形態を有するヤブカラシ(ブドウ科)は,このアマチャヅルと誤認されやすいため偽物が出回っているという。並木としても美しいイチョウは血管強化薬の原料として,葉が日本からドイツへ輸出されているし,ヤマノイモ類が性ホルモン製剤の原料としてインドネシアから日本に輸入されている。これらはそれぞれ既知の薬効成分や新しい生理作用を有する成分,あるいは薬物への化学転換の容易な物質の発見の結果,ふつうの植物が薬用植物として認識され利用されるようになったものである。…

【有毒植物】より

…イラクサは折れて皮膚内に残った刺毛からアセチルコリンやヒスタミンが放出されるため,はれやかゆみをひきおこす。ヤマノイモ,サトイモ,カラスビシャク,マムシグサなどの根茎にはシュウ酸カルシウムの鋭くとがった針状結晶が存在し,皮膚を刺激し炎症をおこす。コンニャク,キーウィフルーツでも同じ現象がみられるが,原因をシュウ酸カルシウムだけとする説には疑問がある。…

※「ヤマノイモ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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