ヤークート(読み)やーくーと(英語表記)Yāqūt al-Rūmī

デジタル大辞泉 「ヤークート」の意味・読み・例文・類語

ヤークート(Yāqūt al-Rūmī)

[1179~1229]イスラム地理学者小アジア生まれ。奴隷にされ、解放されたのちアラビア地理学辞典の「諸国集成」を完成した。「文人集成」などの著作もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤークート」の意味・わかりやすい解説

ヤークート
やーくーと
Yāqūt al-Rūmī
(1179―1229)

イスラムの地理学者ギリシア人両親とし、アナトリアに生まれる。奴隷としてハマー(シリア南西部)の豪商に売られ、主人によりヤークート(紅玉)と命名された。取引に従事し、自由の身に解放されると、独立して書店を営み、著述を始めた。放浪の旅に出てペルシアに滞在中、チンギス・ハンの率いるモンゴル軍の侵入にあい避難する。メルブマリー)の図書館に出入りするうち、1218年に地理学辞典『諸国集成』の編纂(へんさん)に着手し、各地を転居しながら1224年に完成させた。アラブ文学関係の文人伝記集『文人集成』、アラブ諸部族の系譜を集めた『系譜集成』などの著作がある。散逸して現存しない古書からの引用が多く、その価値が倍加されている。

[佐藤圭四郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「ヤークート」の意味・わかりやすい解説

ヤークート
Yāqūt
生没年:1179-1229

ムスリム地理学者。ビザンティン領アナトリア(ルーム)で生まれ奴隷とされたが,後に解放され商業を営む。各地を広く旅する一方,学問を深めた。地理学に関する先人の業績をまとめた成果が,有名な地名辞典《諸国集成Mu`jam al-buldān》であるが,歴史地理研究の最も重要な資料となっている。このほかに言語・文学に関連する学者の伝記辞典もある。その百科全書的知識は,オリジナリティはないが,きわめて有用な著作を生み出した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤークート」の意味・わかりやすい解説

ヤークート
Yāqūt ibn `Abdullāh al-Rūmī

[生]1179. アナトリア
[没]1229.8.20. アレッポ
イスラムの地理学者。両親はギリシア人。バグダードの豪商に奴隷として買われ,そこで教育を受けたのち,解放されて各地を旅行した。主著に,地理上の知識,歴史,民族学,自然科学の記述を含む『地理学辞典』 Mu`jam al-Buldān,学者,文学者の人名を集めた『人名辞典』 Mu`jam al-Udabā'がある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヤークート」の解説

ヤークート
Yāqūt al-Rūmī

1179~1229

イスラームの事典編集者。『地理学事典』『学者文人事典』『家譜分統書』があり,いずれも従来の著述を集大成したもの。今日散逸した古書の引用がある。

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