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ヨーロッパ安全保障戦略 よーろっぱあんぜんほしょうせんりゃく

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知恵蔵2015の解説

ヨーロッパ安全保障戦略

2003年12月の欧州理事会で、欧州共通外交・安全保障政策(CFSP)上級代表のソラナが発表した『よりよい世界における安全なヨーロッパ―ヨーロッパ安全保障戦略』という報告書。EUとしての初めての独自の安全保障戦略(ソラナ報告)。米欧がイラク戦争をめぐって激しく対立した反省から、この報告書によってEUは、「世界における戦略的なパートナー」の役割を果たすべきことを説くと同時に、米国とは一線を画した米欧間の安全保障上の補完的な関係の重要性も提示した。同報告では、ヨーロッパが現在直面している脅威(テロ、大量破壊兵器の拡散、国際組織犯罪)に対する「予防外交」を強調し、情報、警察、法律、軍事などさまざまな分野による予防的関与(preventive engagement)、予防外交を強調した。米国のEUに対する不信感をなくすため、米国との戦略的パートナーシップの重要性を強調するとともにヨーロッパの安全保障面での熱意・責任意識の向上を促した。他方で、国連中心の「多国間主義(マルチラテラリズム)」を強調して、アメリカ単独行動主義に反対するヨーロッパ側の独自の姿勢も示した。ソラナ報告の具体策として、04年9月にEUが打ち出した新たな方向性が「人間の安全保障ドクトリン」だった。紛争地域での保護・停戦監視・武装解除のための軍事兵力と、安全確保・人権監視・国際的な文民組織のプレゼンスを目的とする、1万5000人規模の軍民組織(警察、法律家、人権監視員、税専門家、医師、看護師などを含む)の派遣を提唱した。これは、純粋な軍事機構ではなく、文民の比重を重んじた平和維持活動(PKO)と軍事介入の中間的なものと考えられている。EUはすでに00年春、欧州理事会(リスボン)で危機管理のための文民委員会の創設を検討していたが、そうした文民協力の立場を改めて強調したことを意味する。同時にEUが米欧関係において非軍事的役割強化を強調することで、米欧安全保障体制そのものの意義・役割を変えていこうという試みとも考えられる。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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