ヨーロッパ連合(EU)加盟国にヨーロッパ自由貿易連合(EFTA(エフタ))加盟のノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを加えた自由経済圏。ヨーロッパ経済共同体(EEC)とEFTAが1972年に自由貿易協定を結んで発足した経済領域が前身である。略称EEA。日本では「欧州経済地域」「欧州経済領域」とも訳される。EUが1993年11月に創設されたのを受け、1994年1月にヨーロッパ経済領域協定に基づいて発足した。域内での人、物、資本、サービスの移動は原則自由で、域内外との貿易や投資などの経済関係を活性化するねらいで設定された。工業品の域内関税はゼロである。ヨーロッパ経済領域に加盟すれば、EFTA加盟国はEUに加盟することなく、EUの単一市場に参加できるという利点がある。またEUの新規加盟国は、自動的にヨーロッパ経済領域にも加盟することになる。このため、経済面に限定した拡大EUとよばれることもある。ヨーロッパ経済領域は発足時点では域内人口、域内総生産(GDP)ともに、アメリカ、カナダ、メキシコの3か国が結んだNAFTA(北米自由貿易協定)を上回る世界最大の自由経済圏であった。2015年末時点での加盟国は31か国。2014年時点で、域内人口は約5億0600万人(国連推計)、域内総生産は18兆9900億ドル(国際通貨基金推計)である。
EFTA加盟の3か国は、EUの立法作業には参加できないが、ヨーロッパ経済領域に加盟したことで原則EUの法規制を受ける。ヨーロッパ経済領域加盟国やヨーロッパ委員会で構成する共同委員会が域内でのEU法の適用や執行を決める。また、ヨーロッパ経済領域理事会が毎年2回開かれ、加盟国間の問題について調整する。なおEFTA加盟国のうち、スイスのみが1992年末の国民投票で、ヨーロッパ経済領域への不参加を決めている。
[矢野 武 2016年4月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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