ライモンディ(読み)らいもんでぃ(英語表記)Ruggero Raimondi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライモンディ」の意味・わかりやすい解説

ライモンディ
らいもんでぃ
Ruggero Raimondi
(1941― )

イタリアのバス・バリトン歌手。ボローニャ生まれ。ローマなどで声楽を学び、1964年スポレートの声楽コンクールに入賞、その地でデビュー。ベネチアを中心に舞台を重ねたが、声に比べ演技未熟を自覚、演出家ファッジオーニPiero Faggioni(1936― )の指導を受ける。その後イタリアの主要歌劇場に登場、70年にはニューヨークメトロポリタン歌劇場に初出演。また、モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』は彼の最大の当り役となり、多くの演出家により舞台で歌ったほか、79年にはジョゼフ・ロージー監督が彼の主演でオペラ映画化している。明るく柔らかいなかに芯(しん)のある、朗々と歌うような声質をもち、幅の広い役柄に対応している。71年(昭和46)NHK招聘(しょうへい)のイタリア歌劇団の公演で初来日。

[美山良夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「ライモンディ」の意味・わかりやすい解説

ライモンディ
Marcantonio Raimondi
生没年:1480-1534

イタリアの銅版画家。ボローニャ近郊に生まれる。画家・金細工師のF.フランチアのもとで修業した後,1508年ころベネチアに赴き,とくにデューラー木版画の模刻をするが剽窃(ひようせつ)罪で訴えられる。10年ころローマに移住し,ラファエロ工房で師のデッサンに基づく多量の複製版画を制作し普及に努めた。師の死後,同胞G.ロマーノと共作するが,作品の猥褻(わいせつ)性のため投獄される。27年ローマ略奪により,活動に支障を来たし,帰郷後失意と貧困のうちに死亡した。彼の才能はラファエロの作品の複製版画家として開花し,評価されている。しかし様式の多様性にもかかわらず,一貫した繊細で鋭い美的感性と卓抜した技術・知識に基づく確実な描線と構成力は,単なる複製版画の域を脱し,ルネサンスの古典様式と版画技術を普及させ,デューラーとともに広く後世に影響を及ぼした。代表作品は《嬰児虐殺》(1510),《パリス審判》(1510-11)など。
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ライモンディ
Antonio Raimondi
生没年:1826-90

イタリアの博物学者。ミラノに生まれ,医学を修める。1850年ペルーに渡り,69年までの19年間ペルー各地を歩き,地質,植物,気象,鉱物などを調査し,その記録を《ペルー》3巻(1874-80)として発表。そのほか鉱物や鉱山についての調査,地方誌などの著書もある。チャビン文化の,のちに〈ライモンディ石碑〉と呼ばれる石彫も発見している。その後もペルーで調査と著作をつづけ,ペルー北部のパカズマヨで没した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライモンディ」の意味・わかりやすい解説

ライモンディ
Raimondi, Giuseppe

[生]1898. ボローニャ
[没]?
イタリアの文芸評論家。カルダレッリ,バッケッリらと雑誌『ラッコルタ』 Raccoltaを創刊 (1918) ,のち彼らとともに『ロンダ』に加わってレオパルディ研究を行い,文学における形式と伝統の問題に強い関心を示した。主著『病める光』 Luci malate (15) ,『1925~30年,日々の手帳』 Giornale ossia taccuino1925-30 (42) ,『エミリア通信』 Notizie dall'Emilia (54) ,『不正』L'ingiustizia (65) ,『女王の鍵』 La chiave regina (73) 。

ライモンディ
Raimondi, Marcantonio

[生]1480頃.ボローニャ
[没]1534頃.ボローニャ
イタリアの銅版画家。初め F.ライボリーニに師事して黒金象眼細工と銅版画を修業。イタリアに旅行していたデューラーの作品に感動し,69枚の版画をコピーし,また『マリアの生涯』と『小受難』の木版画を銅版画に写した。 1510年以後はローマで,ラファエロと親交をもち,彼の作品を銅版画にしたり,大きな工房を開いた。ミケランジェロ,G.ロマーノの作品も銅版に模写した。 27年スペインのローマ侵入で捕われたが,賠償金を払ってボローニャに引退した。

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