イタリアの作曲家ベルディの三幕からなるオペラ。1851年ベネチア初演。フランスの作家ユゴーの戯曲『王は楽しむ』に取材したピアーベFrancesco Maria Piave(1810―1876)の台本による因果応報を主題とした悲劇で、ベルディの代表作の一つであるとともに、人物の性格描写と旋律的創意との強固な結び付き、また音楽のもつ劇的効果の高さにおいて、後世に多大な影響を及ぼした。領主マントバ公爵に仕える道化リゴレットは、漁色家の主人を唆して女あさりを手伝うが、公爵に娘をもてあそばれたモンテローネ伯爵に、おまえにも父親の怒りがわかるときがくるだろうと呪(のろ)いをかけられ、愛娘ジルダの身を案じて不安に駆られる。そのジルダは、学生に化けて言い寄ってきたマントバ公爵を愛するようになり、やがて公爵邸に連れ去られる。憤怒(ふんぬ)に燃えたリゴレットは殺し屋スパフスチレに公爵の暗殺を依頼するが、それを知ったジルダは愛する公爵の身代りとなって殺され、リゴレットが悲嘆に暮れるうちに幕となる。単独で歌われるアリアも多く、第一幕の「あれか、これか」「慕わしい人の名は」、第二幕の「悪魔め、鬼め」、第三幕の「女心の歌」などはとくに名高い。日本初演は1919年(大正8)原信子(のぶこ)(1893―1979)、清水金太郎(1889―1932)らによる抄演。
[三宅幸夫]
『A・チャンパイ、D・ホラント編『名作オペラブックス10 リゴレット』(1988・音楽之友社)』
ベルディのオペラ作品の一つ。前奏曲と3幕4場からなる。台本は,ユゴーの戯曲《王は楽しむ》をF.M.ピアーベが脚本化したものである。
日ごろから浮名を流しているマントバ公は,町はずれの小屋に隠れ住む美しい娘ジルダに恋をする。だがそのジルダは,公爵に仕えるせむしの道化リゴレットの愛娘である。リゴレットは,公爵が娘の清純な心をもてあそんだことを悲しみ怒り,刺客スパラフチレに命じて公爵暗殺を企てた。しかし予想しなかった事態から公爵の身代りとしてジルダを死に至らせてしまう。
《リゴレット》は,ベルディの26曲のオペラの第16番目の作品であり,つづく《イル・トロバトーレ》《椿姫》とともに彼の中期の三部作とされる。ベルディは,この三つのオペラにおいて,異形とさえいえるほど強烈な個性をもった主人公の内面にひそむ人間的真実を,音楽のもてる限りの力を投じてリアリスティックに表現しようと集中的に試みている。とくに《リゴレット》は歌手の声による表現に加えて,オーケストラの劇的な用法に意を用いている。初演は1851年3月ベネチアのフェニーチェ劇場で行われ,熱狂的な成功をおさめた。日本初演は1916年,東京浅草の駒形劇場で清水金太郎,田谷力三,原信子主演で行われた。
執筆者:後藤 暢子
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