日本大百科全書(ニッポニカ) 「リストラクチャリング」の意味・わかりやすい解説
リストラクチャリング
りすとらくちゃりんぐ
restructuring
日本的略称はリストラ。広義には政治、経済、社会全体の再構築すなわち根本的再構成をいう。通常は個別企業が環境変化に適応するために、事業の内容や範囲を大幅に改革し再構成することをいい、企業再構築などと訳すこともある。前者の典型は、旧ソ連のゴルバチョフ大統領が推進したことで有名になったペレストロイカ(perestroika 再編・改革の意、その英訳は restructuring)である。
企業のリストラは、景気変動、技術革新、競争激化、国際化などの環境変化に適応して生き残るために不断に推進されるが、とくに不況や業績低下のような苦境下では、それが厳しく求められる。具体策としては、合併、不採算部門・事業分野の縮小・整理・撤退・売却、有望部門・事業分野への経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の集中的活用、多角化の推進または縮小、製品系列の拡大または整理、生産・販売拠点の海外展開または撤退、企業集団ないし企業系列の形成や再構成などである。近年の実例としては、成熟産業となった製鉄業における高炉の集約、円高と不況に苦しんだ自動車産業における主力工場の閉鎖・移転や乗用車生産からの撤退などがあげられる。アメリカではM&A(合併・買収)による徹底したリストラが多いが、日本では終身雇用制など制度上の制約が強く、大胆なリストラがしにくいといわれる。
[森本三男]