リヒテル(英語表記)Rikhter, Svyatoslav Teofilovich

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リヒテル
Rikhter, Svyatoslav Teofilovich

[生]1915.3.20. ウクライナジトーミル
[没]1997.8.1. モスクワ,モスクワ
ウクライナ生れのピアニストソ連人民芸術家。 1937年からモスクワ音楽院で G.ネイガウスに師事。 45年全ソ音楽コンクールで第1位となり,のちスターリン賞を受賞。その頃から国外にも演奏旅行をするようになった。音の美しさ,はなやかな演奏技巧で知られたが,彼自身,非常に神経質であるため,生演奏を聴ける機会が少く,「幻のピアニスト」と呼ばれた。 61年レーニン賞受賞。 70年初来日。

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百科事典マイペディアの解説

リヒテル

ウクライナ生れのピアノ奏者。ウクライナ北西部のジトミル(当時ロシア領)に生まれる。父はポーランド生れのドイツ人。モスクワ音楽院で名教師G.G.ネイガウス〔1888-1964〕に師事し,在学中の1940年プロコフィエフの《ピアノ・ソナタ第6番》の初演でデビュー。1945年全ソビエト音楽コンクールで優勝,その後東欧諸国でリサイタルを開き名声を高めた。父テオフィルが独ソ戦開始後の1941年,ドイツのスパイとして密告され銃殺刑に処され,母アンナが第2次大戦後西ドイツに出国したため長く西側での演奏を禁じられ,〈幻のピアニスト〉と呼ばれた。1960年ようやく米国にデビューし,その後ヨーロッパ各地にデビュー。ホロビッツに比肩するビルトゥオーソとして名声を得る。その後はフィッシャー・ディスカウ,カルロス・クライバーをはじめ西側の数多くの名演奏家と共演,J.S.バッハから同時代作品に至るレパートリーに陰影豊かな名演を繰り広げた。プロコフィエフの後期のピアノ・ソナタやロストロポービチと共演した《チェロ・ソナタ》(1949年初演),オイストラフと共演したショスタコービチの《バイオリン・ソナタ》(1969年初演)など,初演曲も多い。1970年に初来日。→ギレリスバシュメット

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世界大百科事典 第2版の解説

リヒテル【Svyatoslav Teofilovich Rikhter】

1915‐97
ソ連邦のピアノ奏者。20世紀後半を代表する大家で,レパートリーは広いが,とりわけベートーベンの厳粛と豪快,ラフマニノフの壮麗と豪華は,類がない。1937年モスクワ音楽院に入学,第2次世界大戦をはさんで,47年まで在学。在学中,42年にプロコフィエフの《ピアノ・ソナタ第6番》の初演者に選ばれてモスクワでデビュー,45年に全ソビエト音楽コンクールのピアノ部門で1位入賞。49年には早くもスターリン賞を受け,東欧諸国で演奏活動を開始,さらに60年アメリカでデビューし,西側諸国に新鮮な衝撃を与えた。

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大辞林 第三版の解説

リヒテル【Svyatoslav Teofilovich Rikhter】

1915~1997) ソ連のピアノ奏者。豪放なスケールと繊細な表現力を合わせもち、特にバッハ・シューマンの演奏に優れる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リヒテル
りひてる
Святослав Рихтер Sviatoslav Richter
(1915―1997)

ウクライナのピアノ奏者。ジトーミル生まれ。20世紀後半を代表する大家の一人だが、ほとんど独学でピアノ奏法を身につけた。1937年モスクワ音楽院に入学、名教師ゲンリヒ・ネイガウスに師事。在学中の40年モスクワでデビューし、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第6番を初演。45年全ソ音楽コンクールで第1位となり名をあげた。50年から東欧諸国に楽旅、60年初めて西側に出てアメリカ・デビュー。これが決定的な成功を収めてリヒテルの存在は一躍世界中に知れ渡った。70年(昭和45)初来日。卓越した技巧を有したリヒテルの表現力は非常に幅が広く、迫力満点の激しい緊張を生み出す一方、柔和で叙情的な楽趣の表出にも長(た)けていた。レパートリーは広く、とくにバッハ、ベートーベン、シューベルト、シューマン、ラフマニノフ、スクリヤービン、プロコフィエフを得意とした。[岩井宏之]
『昆田亨写真『巨匠リヒテルの世界』(1987・東京新聞出版局)』

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