リモネン(読み)りもねん(その他表記)limonene

デジタル大辞泉 「リモネン」の意味・読み・例文・類語

リモネン(limonene)

レモンに似た香りのある液体テルペンに属する炭化水素レモン油シソはっか油などに含まれる。

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精選版 日本国語大辞典 「リモネン」の意味・読み・例文・類語

リモネン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] limonene ) テルペン類化合物。化学式 C10H16 レモンのような芳香をもつ。レモン油、シソ、松葉油などに含まれる。香料などとする。
    1. [初出の実例]「ピネンも噴き リモネンも吐き 酸素もふく」(出典:半蔭地撰定(1933)〈宮沢賢治〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リモネン」の意味・わかりやすい解説

リモネン
りもねん
limonene

単環式モノテルペン系炭化水素であり、右旋性(d-体)と左旋性(l-体)の光学異性体がある。光学的に不活性なラセミ体(dl-体)はジペンテンといわれる。d-リモネンはレモン油、オレンジ油などに、l-リモネンははっか油、スペアミント油などに、ラセミ体はテレビン油樟脳(しょうのう)油などに存在する。d-リモネンはオレンジ、レモンなどの精油を分留して得ている。l-リモネンははっか油を分留して得ている。ジペンテンは樟脳白油を分留して得ている。

 リモネンは香粧品香料として各種柑橘(かんきつ)油と併用され、せっけん洗剤、化粧品、芳香剤などに用いられる。食品香料としては柑橘系、各種フルーツ系のフレーバーに使用される。d-リモネンはl-カルボン(スペアミント)の合成原料として重要である。

[佐藤菊正]


リモネン(データノート)
りもねんでーたのーと

リモネン
d-リモネン

 化学式 C10H16
 分子量 136.2
 融点  -74.35℃
 沸点  177.6~177.8℃/755mmHg
 比重  0.8402(測定温度21℃)
 屈折率 (N)1.4722
 引火点 47℃
 旋光度 [α]+124.2℃

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化学辞典 第2版 「リモネン」の解説

リモネン
リモネン
limonene

1-methyl-4-isopropenylcyclohexene.C10H16(136.24).p-メンタン核をもつ単環性モノテルペン.天然には,(R)-リモネンと(S)-リモネンおよび(RS)-リモネンが存在している.(RS)-リモネンは,ジペンテン(dipentene)ともいわれ,テレビン油などに含まれている.融点-95.5 ℃,沸点175~176 ℃.0.8402.1.4744.(R)-リモネンは橙皮油,レモン油,ういきょう油などに,(S)-リモネンは松葉油,はっか油などに含まれている.(R)-リモネンは沸点176~178 ℃,71 ℃(2.66 kPa).0.8402.1.4722.+127°.いずれもせっけん,化粧品,浴剤用香料などに用いられる.LD50 5000 mg/kg(ラット,経口).[CAS 5989-27-5:(R)-リモネン][CAS 7705-14-8:(RS)-リモネン]

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改訂新版 世界大百科事典 「リモネン」の意味・わかりやすい解説

リモネン
limonene



単環状モノテルペンの代表的化合物。1-メチル-p-イソプロペニル-1-シクロヘキセン。精油中に広く含有される成分の一つで,レモン様の芳香をもつ。光学異性体のd-リモネン(右旋性)とl-リモネン(左旋性)およびラセミ体が存在する。光学的に不活性なラセミ体はジペンテンという。天然には,d-リモネンはオレンジ油,ショウノウ白油,ダイダイ葉油などに,l-リモネンはハッカ油などに,またラセミ体のジペンテンはダイダイ花油,テレビン油,ショウノウ白油などに多く含まれるというように,植物種により分布が異なる。これらの精油から精留分離される。無色の液体で,比重0.84,沸点177℃前後,いずれも水に不溶,アルコールに可溶。異性体によりグリコールに対する溶解性は若干異なるが,油には可溶。かんきつ類系の精油の調合香料として広く使用される。またカルボンcarvon(単環状モノテルペンに属するケトン)の合成原料となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リモネン」の意味・わかりやすい解説

リモネン
limonene

化学式 C10H16 。レモン,オレンジなどの精油中に含まれる単環式モノテルペン炭化水素。無色液体。沸点 176.5℃。水に不溶,アルコールに可溶。レモン様の芳香を有する香料の原料である。

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