ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リュミエール兄弟」の意味・わかりやすい解説
リュミエール兄弟
リュミエールきょうだい
Lumière brothers
(弟) ルイ 1864.10.5. ブザンソン~1948.6.6. バンドル
フランスの発明家,映写機器製造の先駆者。撮影用カメラと投影機を一体化したシネマトグラフを発明し,映画の原型を築いた。1895年に制作した映画『工場の出口』La Sortie des ouvriers de l'usine Lumièreは,世界初の実写映画とされる。兄弟は学生時代から科学の分野で優れた才能を示した。ルイは 18歳で商用フィルムを開発し,乾板製造工場を開くとすぐさま成功を収めた。写真家である父が目にしたトーマス・アルバ・エジソン発明のキネトスコープの話を聞いた兄弟は,動画撮影と投影を 1台の機械でできないかと考え,ルイがシネマトグラフを発明,1895年に特許を取得した。1895年12月28日,パリのグラン・カフェで公開した映像が高い評価を集め,ここから映画の歴史が幕を開けた。兄弟は 1896年に 40本以上の映画を制作,その内容は列車の到着,カードゲーム,働く鍛冶屋,赤ん坊に乳をやる母親,兵士の行進,通りのにぎわいなど,フランスの日常生活を記録したものだった。短編コメディ映画のさきがけとなる作品もあった。初のニュース映画としてフランス写真協会会議の様子を撮影し,また初のドキュメンタリー映画となるリヨン消防局に関する 4本の映像も公開した。1896年以降はカメラマンや映写技師を世界各地に派遣し,映画の公開と撮影を行なった。(→フランス映画)
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