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ルキアノス ルキアノスLukianos

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ルキアノス
Lukianos

[生]125頃.サモサタ
[没]180以後
ギリシアの風刺作家。シリアに生れ,ギリシア語を学び,放浪講演者としてイタリアからガリアまで旅行した。 40歳頃アテネに定住し,対話篇の執筆に従事し,晩年にはエジプトで行政官をつとめた。作品は偽作も含めて 80編に及び,多くは対話または手紙の形式で宗教や哲学に鋭い嘲罵を浴びせたり,世の中の愚行や欠陥を滑稽に描いたもので,機知に富んだ饒舌を特徴とする。新喜劇キュニコス派メニッポスからの影響が大きい。最もよく知られているのは誇張に満ちた旅行譚『本当の話』 Alēthēs Historiā。

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百科事典マイペディアの解説

ルキアノス

ローマ時代のギリシアの風刺作家。作品は軽妙なエッセーか滑稽(こっけい)な対話編の形をしている。中でも嘘(うそ)ばかりの空想旅行記《本当の話》は近代以降,スウィフトの《ガリバー旅行記》等に影響を与えた。

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世界大百科事典 第2版の解説

ルキアノス【Loukianos】

120ころ‐180ころ
ローマ時代に活躍したギリシアの作家。シリアのサモサタに生まれ,最初は叔父のもとで石工の修業をしたが肌に合わず,まもなくしてやめ,ギリシア語を学び弁論家となって各地を旅した。40歳ほどになってアテナイに住むようになり,このころから新ソフィスト的な修辞学よりも哲学に関心を移し,洗練されたアッティカ語の名文で多くの著作をしたが,その後エジプトでローマの役人になったこともあったらしい。幾つかの偽作を含めて彼の作品と称されるものが80編ほど伝わっているが,代表作には《本当の話》《ペレグリノスの昇天》,また対話形式で書かれた《神々の対話》《死者の対話》などがある。

ルキアノス【Loukianos】

240ころ‐312
アンティオキア学派の聖書解釈学者。アリウスの先行者とされる。サモサタ出身だが,アンティオキアで教育を受け,神学校の学頭をつとめた。聖書学者としては,オリゲネスの比喩的解釈に反対し,字義どおりの解釈を主張した。ギリシア語訳聖書(《七十人訳聖書》)の改訂を行い,ルキアノス版を作った。キリスト論に関しては,キリストの先在性を認めながらも,完全な永遠性には疑惑をいだき,従属主義の傾向をもっていた。アリウス,ニコメディアのエウセビオスなどの有力な弟子を育てた。

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大辞林 第三版の解説

ルキアノス【Lūkiānos】

120頃~180頃) ローマ帝政期のギリシャの風刺作家。主に対話形式で書かれた八〇編ほどの作品が伝存。当時の世相に鋭い批判眼を向けつつ、哲学・思想・宗教などあらゆる面にわたって風刺した。「本当の話」「神々の対話」「ペレグリノスの昇天」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ルキアノス
るきあのす
Lucianos
(120ころ―180ころ)

シリア生まれのギリシア語による作家。イオニアで修辞学とアッティカ風散文(擬古文)をマスターし、ギリシア、イタリア、ガリアを遊歴して法廷弁護人あるいは講演者として名声を博した。40歳ごろからアテネで作家生活に入り、晩年はローマ帝国のエジプトで仕官した。作品は偽作も含めて八十余編で多くは対話形式。当時はギリシアの神々への信仰が衰えてすでに久しく、キリスト教もいまだ世界宗教とはならず、世間にはいかがわしい宗教がはびこり、ピタゴラス派、アカデメイア派、犬儒派、逍遙(しょうよう)学派、ストア派、エピクロス派、懐疑派などの末流が実りのない議論に明け暮れていた。こうした奇跡演出者や哲学諸派の名誉欲、金銭欲、迷信などを風刺した作品が多い。自伝的小品『夢』、哲学諸派を叩(たた)き売る『生き方の競売』、アクロポリスから金貨を垂らして哲学者どもを釣り上げる『漁師』、えせ宗教家・哲学者を攻撃する『偽予言者アレクサンドロス』『ペレグリノスの昇天』、崇拝されなくなったオリンポスの神々がうろたえる『悲劇役者ゼウス』、迷信を笑う『嘘(うそ)好き』、友情論『トクサリス』、虚実の間(あわい)に生きる遊女や嫖客(ひょうかく)の哀歓を描く『遊女の対話』、そして月世界旅行や鯨の胎内生活を含む『本当の話』は後世の模倣者も多い。彼自身は確固たる哲学的立場をもたないが、その多才な知性のゆえに、古代のエラスムス、ボルテールとも称される。[中務哲郎]

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世界大百科事典内のルキアノスの言及

【宇宙飛行】より

…飛ぶことのできたうれしさのあまり太陽に近づきすぎ,翼を固めた蠟が溶けて墜死したギリシア神話のイカロスの話はその例としてあげることができる。また2世紀にはギリシアのルキアノスによって,月世界旅行のSFの第1号ともいえる,暴風雨で月まで飛ばされた船と乗組員の話がつくられている。 その後,17世紀ごろまで目だったものはなかったが,地球と宇宙そのものに対する理解が深まるとともに,多くの人によって宇宙旅行が空想されるようになった。…

【黄金のろば】より

…途中《クピドとプシュケ》の物語が挿入されているが,これは神話の研究上貴重なものとなっている。動物の姿で人間社会を見るという形式としては,夏目漱石の《吾輩は猫である》の源流に当たるといえるが,同じ2世紀のギリシアのルキアノスにも《ルキオスかろばか》と題する作品があり,2人の著作の手本となったさらに古い作品が存在したと考えられ,それはパトラスの人ルキオスLoukiosによってギリシア語で書かれたと伝えられる《ろば物語》であったとみなされる。しかしこの原作は現存していない。…

【ギリシア文学】より

…他方,アルキロコスやアリストファネスらの活発な風刺の精神もなお衰えず,この時期の文学に異彩を加えている。サモサタの(自称シリアの)ルキアノスはみごとなアッティカ風文語文によって世に蟠踞する偽予言者,偽哲学者などを次々に風刺のやり玉にあげている。あらゆるものが彼の否定的・懐疑的な笑いの対象とされながら,古典期のギリシア文学のみはやはり一種の聖域となっており,ルキアノスもまた,懐旧の時代の申し子であったことがわかる。…

【本当の話】より

…2世紀のギリシアの作家ルキアノスの代表的な作品。作者が50歳ごろの円熟期に書かれたと考えられる。…

※「ルキアノス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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