ルチル型構造(読み)るちるがたこうぞう(その他表記)rutile structure

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルチル型構造」の意味・わかりやすい解説

ルチル型構造
るちるがたこうぞう
rutile structure

二酸化チタンTiO2鉱物であるルチル(金紅(きんこう)石)と同型の、一般式AX2(Aは陽性元素、Xは陰性元素)で示される化合物にみられる結晶構造の一型式。正方晶系、空間群P42/mnmに属し、陽性元素Aの原子は陰性元素Xの原子によって八面体型6配位を受け、AはXに正三角形型3配位を受ける。マグネシウムマンガン、鉄、コバルトニッケル亜鉛フッ化物バナジウムニオブ、マンガン、鉄、ルテニウムスズ、鉛の酸化物などがこの構造をとる。

[岩本振武 2015年8月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ルチル型構造」の解説

ルチル型構造
ルチルガタコウゾウ
rutile type structure

ルチルTiO2に代表される,組成がAB2で表される無機化合物にみられる典型的な構造の一つ.正方晶系に属し,空間群P42/mnm対称性を有し,単位格子中に2化学単位が含まれる.A原子は単位格子の各頂点と体心に位置を占め,B原子は±(uu,0)および±(u + 1/2,1/2 - u,1/2)(u≈0.3)の位置を占める.A原子はB原子のつくるひずんだ八面体の中心に位置する.ルチルTiO2ほかにスズ石SnO2,GeO2,CoF2,FeF2などがこの型の構造を有する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルチル型構造」の意味・わかりやすい解説

ルチル型構造
ルチルがたこうぞう
rutile structure

金紅石 (ルチル) TiO2 の示す結晶構造でチタンは体心正方格子をつくり,酸素はチタンの両側に等距離に配列する。酸素はチタンを中心にしたほぼ正八面体の頂点に位置し,チタンは酸素を中心とするほぼ正三角形の頂点に配列する。ルチルのほかにマンガン,バナジウム,ルテニウム,ニオビウムなどの酸化物,マグネシウム,ニッケル,コバルト,鉄などのフッ化物がこの型に属する。

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