日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルブルク」の意味・わかりやすい解説
ルブルク
るぶるく
Guillaume de Rubrouck
(1215/1220―1270ころ)
フランスのフランドル地方出身のフランシスコ会修道士。十字軍を率いるルイ9世とともに、パレスチナ滞在中に、モンゴル帝国領のキリスト教事情、とくにバトゥBatu(1207―1255)の子サルタクSartaqがキリスト教徒であるとの評判を聞き、ドン川流域のその領内における布教を志し、ルイ9世のサルタクあて親書を帯びて1253年にアークル(現在イスラエル領アッコ)を出発した。サルタク領内の布教は許されず、さらにモンゴル本土のモンケ・ハンの宮廷に赴き、1253年末から約半年滞在したのち、モンケ・ハンのルイ9世あて書簡を託されて帰路につき、1255年トリポリに着いた。ルイ9世への復命書であるその旅行記は、モンゴル帝国領内の事情に詳しい。
[海老澤哲雄 2018年2月16日]
『カルピニ、ルブルク著、護雅夫訳『中央アジア蒙古旅行記』(1979・桃源社/講談社学術文庫)』