レイエス(読み)れいえす(その他表記)Edgardo M. Reyes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レイエス」の意味・わかりやすい解説

レイエス(Edgardo M. Reyes)
れいえす
Edgardo M. Reyes
(1938― )

フィリピンにおける現代タガログ文学の代表的作家。タガログ語週刊誌『リワイワイ』の懸賞小説に入賞し、作家としての道を歩む。当初は大衆娯楽小説を多く手がける。1960年代後半、エフレン・アブエックら他のタガログ語作家らと「砂漠の水」グループを結成、以来、フィリピン一般民衆の視座から民衆の直面する現実問題、貧困、社会の不公正、暴力などをリアリズム手法で追求し、パランカ賞をはじめ数多くの文学賞を受賞している。映画化された『マニラ――光る爪(つめ)』(1966)をはじめ、短編『無邪気』(1959)、『インテの村』(1964)など日本語訳がある。99年には『火遊び』(1987)の映画化、原作復刻がなされ、その文化的業績の再評価が進んでいる。

[山下美知子・菅家健一]

『寺見元恵訳『マニラ――光る爪』(『シリーズ・アジアの文学4』1981・めこん)』


レイエス(Alfonso Reyes)
れいえす
Alfonso Reyes
(1889―1959)

メキシコ評論家文学者詩人。メキシコ大学卒業後、外交官としてヨーロッパ、南米各地に赴任する間に文筆活動を始め、評論、詩、戯曲、小説など多才ぶりを発揮。とくに16世紀初頭のメキシコ市を謳(うた)った『アナワック幻想』(1915)、通暁する西欧古典、フランス・イギリススペイン文学を論じた『文学的経験』(1942)などの評論に優れ、以後の作家、文学者に計り知れない影響を与えている。

[安藤哲行]

『桑名一博訳『ウェルギリウスをめぐって』(『世界批評大系3』所収・1975・筑摩書房)』『井尻香代子訳『アランダ司令官の手』(『美しい水死人』所収・福武文庫)』『入谷芳孝・木村榮一訳『夕食会』(『遠い女』所収・1996・図書刊行会)』

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百科事典マイペディア 「レイエス」の意味・わかりやすい解説

レイエス

メキシコの作家。外交官として諸国を巡りながら当代の知識人達と幅広く交友を結び,ボルヘスフエンテスパスなど後代の作家にも大きな影響を与えた。著作は多岐にわたり,詩や戯曲,短編などの創作もあるが,博識を駆使し機知をきかせたエッセーにおいて卓越している。古今の作家,文学作品を論じた批評の他に,史料によりメキシコ市の歴史的様相を再構築した《アナワックの眺望》(1917年),重要なラテンアメリカ歴史文化論を多く収めた《最果てのチューレ島》(1942年),先駆的な文学論《境界画定》(1944年)など。

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改訂新版 世界大百科事典 「レイエス」の意味・わかりやすい解説

レイエス
Alfonso Reyes
生没年:1889-1959

メキシコの文学者,思想家,詩人。メキシコ革命以後の教育改革運動の中で,J.バスコンセロス,J.シエラらとともに大学教育の刷新に努力した。ベネズエラA.ベーリョとともにラテン・アメリカで最高の思想家,碩学に挙げられている。詩人としての業績も大きく,象徴性のなかに民衆的文化と古典的教養を結合した作品を残している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レイエス」の意味・わかりやすい解説

レイエス
Reyes, Alfonso

[生]1889.5.17. モンテレイ
[没]1959.12.27. メキシコシティー
メキシコの詩人,批評家。外交官,大学教授として活躍しながら創作,『残酷なイフィゲーニア』 Ifigenia cruel (1924) ,『休息』 Pausa (26) などの詩集や,『ゴンゴラの問題』 Cuestiones gongorinas (27) ,『デカルト美学をめぐって』 En torno a la estética de Descartes (58) などの評論を含めて,100冊近い著作がある。

レイエス
Reyes, (Prieto) Rafael

[生]1850. コロンビア,サンタロサ
[没]1921.2.19. コロンビア,ボゴタ
コロンビアの探検家,政治家。大統領 (在任 1904~09) 。青年時代アマゾン川上流地域を探検。内乱 (1885~95) に活躍。 1903年アメリカとの交渉によってパナマの分離独立を阻止しようとしたが,これに失敗。パナマ独立後は大統領として独裁政治を行い経済開発に努めたが,パナマの独立承認条約を国会に提案して失敗,失脚した。

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