レスボス島(読み)レスボストウ(その他表記)Lesbos

デジタル大辞泉 「レスボス島」の意味・読み・例文・類語

レスボス‐とう〔‐タウ〕【レスボス島】

Lesbosギリシャエーゲ海東部にある島。トルコ西岸近くに位置し、中心都市はミティリーニオリーブタバコを産する。女流詩人サッフォー生地。ミティリーニ島。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「レスボス島」の意味・読み・例文・類語

レスボス‐とう‥タウ【レスボス島】

  1. ( レスボスは[ギリシア語] Lesbos ) エーゲ海北東部にあるギリシア領の島。女流詩人サッポー、哲学者テオフラストスの生地。古代、この島では女性同性愛が盛んであったといわれていたところから「レスビアン」の語が生じた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レスボス島」の意味・わかりやすい解説

レスボス島
れすぼすとう
Lesbos

エーゲ海北東部、トルコのエドレミト湾の湾口に位置するギリシア領の島。現代ギリシア語ではLésvosと発音する。別称ミティリーニ(ミティレネ)島。面積1630平方キロメートル。中心地は、古代から知られる東岸のミティリーニ(人口3万6196、2001)。北西沖合いのリムノス島、アイオス・エフストラティオス島とをあわせてレスボス県を構成し、その面積は2154平方キロメートル、人口10万9900(2003推計)。丘陵地状で、地中海式農業が営まれる。

[真下とも子]

歴史

紀元前11世紀後半ごろ、主として本土のテッサリア地方から移住したアイオリス人が島の支配者となり、やがてミティレネ以下、メティムナ、アンティッサ、エレソス、ピラ、アリスバの六つのポリス(都市国家)が生まれたが、アリスバはのちにメティムナに隷属した。前7~前6世紀が最盛期で、農業、貿易、植民活動などで繁栄し、音楽家テルパンドロス、詩人アリオン、アルカイオス、サッフォーなどが活躍した。サッフォーが生活をともにして指導した貴族の若い娘たちについて歌った情熱的な詩から、彼女と娘たちが同性愛で結ばれていたとの推測が生まれ、近代になってLesbian love(レスビアン、レズ)ということばが女性の同性愛を意味するものとして用いられるようになった。前6世紀後半にレスボス島はペルシアに屈服し、前5世紀前半にデロス同盟に、前4世紀前半に第二次アッティカ海上同盟に加わり、前2世紀以降ローマの勢力下に入った。紀元後4世紀からはビザンティン帝国領、ラテン帝国領、その後ジェノバ、オスマン・トルコなどの支配を経て、1913年よりギリシアに帰属。

[清永昭次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「レスボス島」の意味・わかりやすい解説

レスボス[島]
Lésvos
Lesbos

エーゲ海東部にあるギリシア領の島。面積1630km2。人口約10万。クレタ島エウボイア島に次いでギリシアで3番目に大きな島である。一般にはその島名は主邑の名をとってミティリーニMitilíniと呼ばれている。火山帯上にあり,温泉が多数湧く。オリーブ栽培が主で,古代にはブドウ酒も有名であった。青銅器時代初期から人口の定住をみるが,前10世紀ごろアイオリス方言のギリシア人が入植し,東部にミュティレネMytilēnē(現,ミティリーニ),北西部にメテュムナMēthymna(現,ミティムナMíthimna)の2都市の成立をみた。両市の抗争後,前者が全島を統一して首都となった。王政,寡頭政を経て前6世紀,古代の七賢人の一人ピッタコスの僭主政のもとで経済的,文化的に繁栄し,詩人アルカイオスと女流詩人サッフォーを生んだ。前5世紀デロス同盟に加盟したが,前428年アテナイから離反して厳しい処罰を受けた。ビザンティン,ジェノバ,トルコなどの支配を経て1912年以来ギリシア領。なお,レズビアンlesbian(女性の同性愛者)という英語はサッフォーの伝説にからめてこの島名からつくられたものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「レスボス島」の解説

レスボス島(レスボスとう)
Lesbos

アナトリア西岸前面の島。同種の島のなかでは最も大きく,古代にはミュティレネをはじめとして五つのポリスがあった。前11世紀にアイオリス人によって植民された。エジプト,黒海方面への交易路に位置し,海外との交通が盛んであり,前7世紀末から前6世紀初めにかけてはサッフォー,アルカイオスらの詩人が輩出して文化が栄えた。デロス同盟の有力な一員であった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレスボス島の言及

【オルフェウス】より

…しかし地上にあと一歩というところで後ろの妻をふり返ったため,永久に彼女を失った。その後,彼は悲しみのあまり他のトラキア女を顧みなかったので,これを恨んだ女たちに八つ裂きにされ,ヘブロス川に投じられたが,その首は抒情詩で名高いレスボス島に流れつき,彼の死を悼む島民によって葬られた。また竪琴は夜空の星になったという。…

※「レスボス島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android