レノックス(伯・公家)(読み)レノックス[はく・こうけ](英語表記)Lennox, Earls and Dukes of

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レノックス(伯・公家)」の意味・わかりやすい解説

レノックス(伯・公家)
レノックス[はく・こうけ]
Lennox, Earls and Dukes of

スコットランド貴族家柄。 15世紀以降スチュアート家が保持。伯爵位は 12世紀末頃からレノックス家により継承され,1425年8代伯ダンカンの刑死により断絶。ダンカンの曾孫ジョン・スチュアート (1495没) は,76年みずからレノックス伯 (数え方により,初代または9代) を名のり,物議をかもしたが,王や他の貴族との抗争のうちに結局は伯爵位を認めさせることに成功した。その4代 (12代) 伯マシュー (1516~71) は,1544年ダグラス家マーガレット (15~78) と結婚し,息子ヘンリー (ダーンリー卿) をもうけた。息子は成人してメアリー・スチュアートの2番目の夫となったが,彼が爆殺されたのちはメアリー・スチュアートに反感をいだき,彼女の廃位後は摂政に選ばれてメアリー派の弾圧に努力。その過程でスターリングにおいて W.カーコーディに急襲され,いったん救出されたが最後に斬殺された。彼の妻マーガレットは6代アンガス伯アーチボルド・ダグラスマーガレット・チューダーの娘で,母を通じてイングランド王位継承権をもち,46年旧教徒のゆえにその権利を剥奪されたが,なお権利は息子ダーンリー卿に継承された。息子とメアリー・スチュアートとの結婚を熱心に推進し,62年エリザベス1世への叛意を疑われて一時投獄された。息子の爆死後は,夫同様メアリーに強い反感をいだき,法廷で彼女を殺人者と糾弾した。マシューとマーガレットの次男で5代 (13代) 伯のチャールズアラベラ・スチュアートの父。彼をもって伯爵家は終ったが,マシューの甥でフランス育ちのエズミ・スチュアート (42?~83) は,79年旧教復活の使命を帯びてスコットランドに派遣され,ジェームズ6世 (イングランド王としては1世) に気に入られて,81年レノックス公に叙せられた。しかしルースベン事件でフランスに亡命し,客死。その子の2代公リュードビック (74~1624) は,1623年イギリスの爵位リッチモンド公を授けられ,以後レノックス公爵位はリッチモンド公家に兼称されている (→リッチモンド〈伯・公家〉 ) 。

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