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レビ・ブリュール レビブリュール

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百科事典マイペディアの解説

レビ・ブリュール

フランスの哲学者,社会学者。パリ大学教授。初め哲学を研究したが,デュルケームの社会学的立場に共鳴し,研究の方向を転じ,道徳・習俗を社会的事実という観点から実証的に研究することを志した。
→関連項目きだ・みのる

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

レビ・ブリュール
れびぶりゅーる
Lucien Lvy-Bruhl
(1857―1939)

フランスの哲学者、社会学者。レヴィ・ブリュールとも表記する。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)卒業。1897年パリ大学講師、1908年同大学哲学史教授となった。デュルケームの影響を受けて、「社会学主義」の立場をとった。未開民族森羅万象をいかに認識し、いかに分類しているか、いかに考えるかという研究領域を創始したといわれる。
 その代表作『未開社会の思惟(しい)』(1910)などにおいて、未開民族の思考様式(これを原始心性mentalit primitiveとよんだ)は文明民族のそれと本質的に異なると論じた。ブラジルの先住民ボロロが自分のことをオウムであるというのは、彼らは人間と鳥とが区別できないからであり、矛盾律を無視していると考えた。また、未開人が干魃(かんばつ)は宣教師のかぶる帽子のせいであるというのは、因果律を理解していないからであると主張した。要するに未開民族の心性は「神秘的」「前論理的」なものであり、人と鳥のように別個のものを神秘的に結合させてしまう「分有の法則」loi de participationに支配されると述べたのである。こういう未開心性論を、未開民族の超自然観、霊魂観念、占い、神話などに基づいて展開した。
 ところがその後、未開民族に関する現地調査が盛んになるにつれて、未開人にも、論理的、科学的な考え方があることが証明された。さらに文明人の場合にも、信仰や宗教に関連した行為においては、神秘的な、非合理的態度がしばしばみられることが指摘された。結局、晩年の『覚書』(1938~1939)において自らの説を撤回したのである。現在では、未開人と文明人との間に本質的に異なる「心性」は存在せず、その違いはむしろ程度の違いであると考えられている。とはいえ、われわれは、タイラーやフレーザーの人類学の個人心理学的な議論を批判し、集合表象の重要性を力説した点を評価しなければならない。
 現代の社会・文化人類学に多大な影響を与えたイギリスのエバンズ・プリチャードは、レビ・ブリュールの貢献の一つとして、彼の著作はすべて新しい問題を構成するのに大きな刺激となると述べ、自分のアザンデ社会の妖術(ようじゅつ)の研究にレビ・ブリュールが参考になったと記している。また彼の「分有の法則」は独創的で価値があり、未開人の観念の研究を力説した最初の学者の一人であると称賛している。エバンズ・プリチャードの学問的後継者ともいえるニーダムもレビ・ブリュールの方法論的貢献は異民族の観念体系を分析した点にあると述べ、「レビ・ブリュールはデュルケームやモースとともに、分類形態と思考様式にかんする社会学的比較研究の創設者であり、いっそう重要なのは、彼が比較認識論を創設したことである」と論じている。[吉田禎吾]
『山田吉彦訳『末開社会の思惟』上・下(岩波文庫)』

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