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レーン れーん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

レーン(封土)
れーん
Lehnドイツ語

中世西ヨーロッパの封建制度において、家臣(封臣)に対し、その奉仕(多くの場合騎士としての軍役奉仕)の代償として主人(封主)が授与する土地(所領)。一般に封土と訳される。恩貸地(ラテン語でベネフィキウムBeneficium)ともいう。英語やフランス語ではfiefということばで表現される。封建制度を意味するドイツ語の術語「レーン制」LehnswesenがLehnからつくられたように、英語のfeudalism、フランス語のfodalitも、fiefのラテン語形feudum (feodum)からつくられた。fiefの語源はかならずしも明らかでないが、家畜を意味するゲルマン語(現在のドイツ語のViehにあたる)だったとする説が有力である。ドイツ語のLehnはLeiheなどと同根で、一般に借地を意味した。
 レーンとして授与されるもの(これをレーン材という)は、土地=所領である場合が大部分であったが、グラーフ(伯)職や大公職のような官職、また高級裁判権、関税徴収権、貨幣鋳造権、市場開設権、鉱山採掘権のような経済的収益を伴う権利(これらはもともと国王の大権事項、すなわちレガリアであった)もまた、レーンとして与えられた。さらに中世末期になると、年金の形で現金を支給することにより封建関係を取り結ぶ慣行も生まれた。このようなレーンはmoney fief(英語)、fief rente(フランス語)、Rentenlehn(ドイツ語)とよばれた。家臣(受封者)が封建的義務を履行しない場合にはレーンは没収されたし、受封者が死亡するとレーンは回収されるのが原則であったが、しだいにレーンに対する受封者の側の世襲権が確立し、レーンの没収も主従間の力関係いかんによっては実行不可能な場合もあった。とくにドイツでは13世紀以降、没収したレーンは、1年と1日以内に新しい受封者に再授封しなければならないという、いわゆる授封強制の原則が成立した。[平城照介]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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