日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウッドワード」の意味・わかりやすい解説
ウッドワード(Robert Burns Woodward)
うっどわーど
Robert Burns Woodward
(1917―1979)
アメリカの有機化学者。マサチューセッツ州ボストンに生まれる。1936年マサチューセッツ工科大学卒業、翌1937年博士号を取得。すぐにハーバード大学に移り、助手、助教授などを経て1950年に同大学教授となった。1941年、共役不飽和化合物の紫外線吸収スペクトルに関するウッドワード規則を提唱、また1965年R・ホフマン(1981年ノーベル化学賞受賞)とともに分子軌道の対称性保存則(ウッドワード‐ホフマン則)を提唱、この規則により有機化学反応の結果の予測が可能となり、有機合成化学に多大な貢献をした。ペニシリン、ストリキニーネ、テトロドトキシンなど多くの天然物質の構造決定を行い、キニーネ、クロロフィルA、ビタミンB12などの複雑な天然物の化学合成に成功した。これらの業績により、1964年にナショナルメダル(科学の各分野で優れた貢献をした者に、毎年大統領から与えられる)、1965年にノーベル化学賞を受けた。
[川野辺渉 2018年6月19日]