ロウハニ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロウハニ」の意味・わかりやすい解説

ロウハニ
Rouhani, Hassan

[生]1948.11.12. ソルヘ
イランの政治家,イスラム教聖職者。大統領(在任 2013~ )。1960年代にセムナーン州にある神学校に入学,その後聖地コムで聖職者としての教育を修了する。1972年テヘラン大学で法学士号を取得して卒業。1960年代~70年代,ムハンマド・レザー・シャーパーレビ国王統治に反対し,アヤトラ・ルホラ・ホメイニを支持したため,数回にわたって逮捕された。その後,イランの情報機関の追跡をかわすため,姓をフェリドン Feridonからロウハニに改めた。1977年にイランを脱出,1978年にフランスに亡命中のホメイニと合流した。1978~79年のイラン革命後にイランに帰国。1980~2000年,5期連続で議員を務めた。政府の要職を務めるかたわら,イギリスのグラスゴー・カレドニアン大学に留学,1999年にイスラム法に関する論文で博士号を取得した。2003年~05年,国際原子力機関 IAEAや国際社会との核開発問題に関する交渉の責任者を務め,西側で評価を高めた。2013年6月,大統領選挙の第1回投票で過半数の票を獲得し,決選投票を待たず当選を決めた。同 2013年9月にはアメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領と電話会談を実施,イラン革命後初のアメリカとイラン両首脳の直接対話となった。2017年5月に実施された大統領選挙の結果,ロウハニは得票率約 57%で保守強硬派の対立候補に対し地すべり的勝利を収めた。

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百科事典マイペディア 「ロウハニ」の意味・わかりやすい解説

ロウハニ

イランの政治家。ロウハーニーとも表記される。シーア派ウラマー(聖職者)。イラン大統領(2013年8月就任)。セムナーン州ソルヘ出身。テヘラン大学卒業。イギリスのグラスゴー・カレドニアン大学に留学,憲法学の学位を取得。穏健派のラフサンジャーニー元大統領の側近として知られる。2013年6月の大統領選で保守派,保守強硬派候補を破り,得票率も50%を超え,大統領に就任した。就任直後から,核開発問題で制裁を続ける欧米との関係打開に乗り出す。2013年9月,イラン革命以降初めて,アメリカ大統領バラク・オバマと電話会談,核開発問題で従来の強硬姿勢を転換する方向を打ち出した。2013年11月ジュネーブでイランと欧米6ヵ国との間で交渉が行われ,濃縮ウランの処理などでイランが譲歩をしめし第一段階の合意に達した。欧米は見返りとして今後6ヵ月の制裁緩和と新たな制裁は科さないことに同意した。ただしイラン産原油輸出,金融制裁は維持,イランが合意を守らない場合は制裁をもとにもどすとしている。ロウハニの譲歩姿勢の背景には,長引く〈制裁〉で停滞する経済に国内で民衆の強い不満があり〈制裁解除〉を求める世論が多数を占めていること,最高指導者ハーメネイーが強硬姿勢からの一定の譲歩を認めていることがある。しかし議会で圧倒的多数を占める保守強硬派や,核開発計画を推進してきた革命防衛隊が,今後の交渉を妨害する可能性もあり,ロウハニが主導権を維持できるか予断を許さない。

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