ドイツの法学者、経済学者。レースラーともよばれる。12月18日バイエルンに法律家の子として生まれる。主としてエルランゲン大学で法学を学び、1861年ロストック大学の国家学教授となる。1878年(明治11)明治政府の招きで来日し、政府顧問として1893年まで法典編纂(ほうてんへんさん)に大きな貢献をした。とくに1881年より井上毅(いのうえこわし)と討論を重ね、伊藤博文(いとうひろぶみ)の渡欧以前にプロイセン憲法に範を求める憲法の制定を政府に決断させるのに多大な影響を与えた。1886年「日本帝国憲法草案」を提出したが、内容、構成、条文の形態においてその草案は大日本帝国憲法に採用されている。ロエスレルは天皇の神聖を規定した第1条には反対したが、これは受け入れられなかった。そのほか、行政裁判制度、民法、商法の制定にも貢献した。彼の起草した商法典の一部が施行されたのを機に1893年離日し、翌1894年12月2日オーストリアで没した。
[佐藤篤士 2018年8月21日]
『鈴木安蔵著『憲法制定とロエスレル』(1942・東洋経済新報社)』▽『J・ジーメス著、本間英世訳『日本国家の近代化とロェスラー』(1970・未来社)』▽『梅溪昇著『お雇い外国人11 政治・法制』(1971・鹿島出版会)』
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