ロスビー(読み)ろすびー(英語表記)Carl-Gustaf Arvid Rossby

精選版 日本国語大辞典 「ロスビー」の意味・読み・例文・類語

ロスビー

  1. ( Carl-Gustaf Arvid Rossby カール=グスタフ=アルビド━ ) アメリカの気象学者。スウェーデン生まれ。シカゴ大学教授。おもに気象力学研究気団分析用の「ロスビー図」の考案ジェット気流提唱などを行なった。(一八九八‐一九五七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロスビー」の意味・わかりやすい解説

ロスビー
ろすびー
Carl-Gustaf Arvid Rossby
(1898―1957)

スウェーデン生まれのアメリカの気象学者、海洋学者。ストックホルムに生まれる。ストックホルムで大学を卒業し、V・ビャークネスに招かれてノルウェーベルゲンの地球物理研究所に学んだ。1926年アメリカに渡って気象局に勤め、のちマサチューセッツ工科大学の準教授となり、1939年にはアメリカに帰化して気象局の副局長となり、研究部門を担当した。1941年からシカゴ大学気象学主任教授、シカゴ学派のリーダーとして気象力学上に多く業績を残した。晩年ストックホルム大学教授も兼ね、ストックホルムに国際的な気象研究所を設立、気象学雑誌『テラス』を創刊した。

 業績としては、気団解析に用いられるロスビー図の考案、絶対渦度保存の法則長波の発見とその機構の研究、偏西風の研究、ジェット気流の研究など有名なものが多い。教育や研究組織の整備にも大きな影響を残し、近代気象学の父とよばれている。

根本順吉

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改訂新版 世界大百科事典 「ロスビー」の意味・わかりやすい解説

ロスビー
Carl-Gustaf Arvid Rossby
生没年:1898-1957

アメリカの気象学者,海洋学者。建築技師を父とし,ストックホルムで生まれる。ストックホルム大学を卒業後,V.F.K.ビヤークネスに招かれ,1919年,ベルゲンの地球物理学研究所に入り,極前線論の研究を始める。26年アメリカに渡り,気象局に勤め,28年にはマサチューセッツ工科大学の気象学の助教授となる。39年にはアメリカに帰化し,気象局の副局長となり,研究と教育部門を担当。41年にはシカゴ大学の気象学主任となり,各国の気象学者を集め,ジェット気流,偏西風波動などを多面的にグループで研究し,いわゆるシカゴ学派のリーダーとなった。また,この頃プエルト・リコ大学に熱帯研究所をつくることにも努力し,50年以後はストックホルム大学の教授を兼任,同地に国際気象研究所をつくった。また,この頃ウッズホール海洋研究所において海流についての重要な研究も行っている。気団分析に用いるロスビー図の考案,絶対渦度の定理の大循環への適用,ロスビー波の発見,アイセントロピック解析など多くの重要な研究を行った。また,アメリカの《気象学雑誌Journal of Meteorology》やスウェーデンの気象学雑誌《Tellus》などを創刊している。優れた研究者であると同時に優れたリーダーであり,オルガナイザーとしても国際的に活躍した。多くの世界の一流の気象学者,海洋学者が影響を受けた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロスビー」の意味・わかりやすい解説

ロスビー
Rossby, Carl-Gustaf Arvid

[生]1898.12.28. ストックホルム
[没]1957.8.19. ストックホルム
スウェーデン生まれのアメリカ合衆国の気象学者,海洋学者。近代気象学の父と呼ばれる。ストックホルムで学んだのち 1926年アメリカへ渡り,アメリカ気象局研究員を経て 1928年マサチューセッツ工科大学教授。1938年アメリカに帰化。1939年気象局副局長。1943年シカゴ大学気象学研究室主任教授。1950年スウェーデンに戻り,ストックホルム大学教授を務めるかたわらストックホルム気象学研究所を主宰。ロスビー図,ロスビー数,ロスビーパラメータ,ロスビー波(長波),渦度などの概念を導入し,大気の大規模な運動を熱学的に論じた。ロスビーのもとでシカゴ大学の研究者たちが,ジェット気流の概念をつくり上げた。

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百科事典マイペディア 「ロスビー」の意味・わかりやすい解説

ロスビー

米国の気象学者,海洋学者。スウェーデン出身。1926年渡米。1932年―1941年マサチューセッツ工科大学教授,米国気象局副局長,ウッズホール海洋研究所所員。1941年シカゴ大学教授。1947年以後出身校のストックホルム大学の教授。大気の熱力学的解析のためのロスビー図の考案,絶対渦度保存の法則と渦位の概念の確立,偏西風帯中の長波の発見など数多くの重要な研究業績がある。気象学におけるシカゴ学派の総帥であり,ストックホルムでは国際的な気象研究所を設立したほか,気象学・海洋学の学術誌《テルス》を創刊,自らその編集に当たっていた。

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