改訂新版 世界大百科事典 「ロートベルトゥス」の意味・わかりやすい解説
ロートベルトゥス
Johann Karl Rodbertus
生没年:1805-75
ドイツの国家社会主義者。ポンメルンの学者の家に生まれた。6年間の司法官のあとフリーの生活にはいり,1848年の三月革命後には短期間プロイセン国民議会の議員となり,一時は文部大臣にも就任した。A.H.G.ワーグナーやF.ラサールと親しく,革命ではなく国家による上からの漸次的な改良で土地と資本の私有を廃止していこうと考えた。《キルヒマンへの手紙》の第3書簡(1851)の地代論や〈資本論〉という名前のついた第4書簡(1883)の賃料論などが,その論拠であった。賃料論では,土地と資本の私有のため,本来労働者のうみだす生産物の一部が賃料(レンテRente)になっているとした。彼はマルクスの剰余価値論がこの賃料論の剽窃(ひようせつ)だと主張したことでも有名である。
執筆者:馬渡 尚憲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報