日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ローリー(Sir Walter Raleigh (Ralegh))
ろーりー
Sir Walter Raleigh (Ralegh)
(1552?―1618)
イギリスの軍人、植民者、文人。デボンシャーのジェントリ出身で、青年時代に義勇兵としてユグノー戦争に従軍し、1578年異母兄ギルバートの北アメリカ探検に随行。80年アイルランドで反乱鎮定に功をたて、翌年帰国して以来エリザベス1世の寵(ちょう)を得て急速に出世し、84年ナイトに叙された。85年から探検隊を北アメリカに送って植民を試みたが失敗(新植民地は女王にちなんで「バージニア」と命名)。87年近衛(このえ)隊長、88年スペインのアルマダ(無敵艦隊)来襲時には防衛委員。このころから君寵を失い、92年不義のかどで一時ロンドン塔に投獄された。95年伝説の黄金郷(エル・ドラドEl Dorado)を求めてオリノコ川流域を探検。1603年ジェームズ1世の治世になると疎まれ、陰謀のかどで13年間ロンドン塔につながれ、獄中で『世界史』を書いた。16年釈放され、ふたたび黄金郷発見のためオリノコ川に赴いたが、王命に反してスペイン人と争いを起こしたため、処刑された。詩作や散文にも長じ、エリザベス朝の代表的人物とされる。
[松村 赳]