一字一石経(読み)イチジイッセキキョウ

デジタル大辞泉 「一字一石経」の意味・読み・例文・類語

いちじいっせき‐きょう〔‐キヤウ〕【一字一石経】

経文を墨または朱で、小石一つに1字ずつ書き写したもの。先祖などの冥福を祈って地中に埋める。→経石きょういし

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精選版 日本国語大辞典 「一字一石経」の意味・読み・例文・類語

いちじいっせき‐きょう‥キャウ【一字一石経】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。小石一つ一つに一字ずつ写された経。

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改訂新版 世界大百科事典 「一字一石経」の意味・わかりやすい解説

一字一石経 (いちじいっせききょう)

石ころに一字ずつ経典を書写したもの。経塚に埋納した経典の一種礫石経,経石,一石経などともいう。墨書と朱書があり,経典は《法華経》が多いが,《阿弥陀経》《般若心経》《華厳経》などもある。石ころはすべて自然石で,加工したものはない。普通2~3cmぐらいの扁平な河原石を選び,片面に一字を書写している。しかし,山石や,凹凸のあるもの,10cmを超えるもの,また一石に表裏一字ずつ,あるいは数字,数十字を写したものもある。いずれにせよ書写後に経典を復原することは困難。創始の時期は明らかでないが,全国にわたって盛行するのは17世紀以降,江戸時代を通じてで,今日も一部で行われている。甕などに入れる場合もあるが,単に穴を掘って埋めることが多い。地上には経名や年月日などを刻した石碑を建てている。その目的は作善(さぜん)業,追善供養,水害防止祈願,堂塔の地鎮など,多岐にわたっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一字一石経」の意味・わかりやすい解説

一字一石経
いちじいっせききょう

経典を小石に1字ずつ書写したもの。追善供養などのために地中に埋め,その上に年月日,目的などを記した石塔の類を建てることが多い。江戸時代に盛行した。 (→経塚 )  

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