石ころに一字ずつ経典を書写したもの。経塚に埋納した経典の一種。礫石経,経石,一石経などともいう。墨書と朱書があり,経典は《法華経》が多いが,《阿弥陀経》《般若心経》《華厳経》などもある。石ころはすべて自然石で,加工したものはない。普通2~3cmぐらいの扁平な河原石を選び,片面に一字を書写している。しかし,山石や,凹凸のあるもの,10cmを超えるもの,また一石に表裏一字ずつ,あるいは数字,数十字を写したものもある。いずれにせよ書写後に経典を復原することは困難。創始の時期は明らかでないが,全国にわたって盛行するのは17世紀以降,江戸時代を通じてで,今日も一部で行われている。甕などに入れる場合もあるが,単に穴を掘って埋めることが多い。地上には経名や年月日などを刻した石碑を建てている。その目的は作善(さぜん)業,追善供養,水害防止祈願,堂塔の地鎮など,多岐にわたっている。
執筆者:三宅 敏之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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