一字金輪(読み)いちじきんりん

精選版 日本国語大辞典 「一字金輪」の意味・読み・例文・類語

いちじ‐きんりん【一字金輪】

〘名〙 仏語
① (ekakṣara-uṣṇīṣacakra の訳) 大日如来最勝三昧にはいって説いた真言である(勃嚕唵(ぼろん)、梵語 bhrūṃ)の一字人格化した五仏頂尊一つ。その像は結跏趺坐(けっかふざ)して手に印を結ぶが、その印上に金輪をおくものを釈迦金輪、五智宝冠を頂くものを大日金輪という。一字金輪仏。一字頂輪。
阿娑縛抄(1242‐81頃)五六「持金輪一字真言、具此二一字金輪也」
増鏡(1368‐76頃)一五「一字きんりんは浄経僧正、如法尊勝は桓守僧正」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「一字金輪」の意味・読み・例文・類語

いちじ‐きんりん【一字金輪】

密教で、大日如来が最高の境地に入って説いた真言である(梵bhrūṃで、勃嚕唵ぼろん音写)の一字を人格化した仏頂尊。像は結跏趺坐けっかふざして手に印を結ぶ姿に表される。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「一字金輪」の意味・わかりやすい解説

一字金輪 (いちじきんりん)

一字金輪仏頂のことで,一字金輪王,一字頂輪王,金輪仏頂王などともいう。仏頂部の中で最もすぐれた仏頂(如来)を意味する。形像は,宝冠をつけ瓔珞(ようらく),腕釧など種々の荘厳具を着けた菩薩形であることが特色であり,釈迦金輪と大日金輪の2種に分かれる。釈迦金輪は,螺髪(らほつ)形の釈迦が須弥山頂で法界定印を結び,印の上に金輪を置く姿を表し,大日金輪は,宝冠を着けて智拳印を結ぶ金剛界の大日如来が日輪の中に表されたものをいう。岩手県中尊寺の一字金輪座像は大日金輪である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一字金輪」の意味・わかりやすい解説

一字金輪
いちじきんりん
Ekākṣaroṣṇīṣacakra

五仏頂尊 (ごぶっちょうそん) の一つ。大日如来の説いた真言 bhrūṃを人として表象したもの。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android