一般に小幅織物の一単位をさしているが、最近では広幅織物を含めたもの、さらには織物の総称として使われるようになった。一単位の内容は、広幅織物では商慣習や輸出の関係もあり、30、40、50ヤール(27.43、36.58、45.72メートル)としており、絹・人絹織物は50ヤール、綿織物は30~50ヤール、梳毛(そもう)織物は50メートル、紡毛織物は30メートル、麻織物は55メートルが標準となっている。小幅織物とくに着尺地では、鯨尺九寸5分(約36センチメートル)、長さ二丈六尺または二丈八尺とし、成人和服用布量を単位としていたが、現在ではメートル法により綿織物では10メートルまたは10.6メートル、絹織物では約11.4メートルを一反としている。現在の身長の伸びぐあい、産地の事情から、11メートルに統一される傾向が強い。
織物の単位には、疋(ひき)、反、段、端などがあり、なかでも反と段は混同されていて、反は段の字の草体の誤りとするものもあるが、厳密には繊維・織物の種類などによって区分されていた。そのうち疋は絹織物に、段、端は麻織物に使われたが、反は疋物を半分にした単位として現れ、これがしだいに一般化されるようになった。したがって、織物の単位、あるいは贈答品の表示に使われる「一疋」とは、二反をさすことになる。
反物は普通、板に巻いて1本とするが、着尺地では折り畳み、ボール紙で包装するか、または直径3センチぐらいの棒に巻く。小千谷縮(おぢやちぢみ)などの特別な反物の場合には、芯(しん)なしで巻物とすることもある。
[角山幸洋]
和服地の総称。江戸時代に小袖1枚分に要する布地の幅,長さが定まり,これを1反とするようになった。1反の長さは時代によりたびたび改定されたが,現在では着物用の着尺(きじやく)は幅約36cm(並幅(なみはば)),長さは12m内外となっている。鯨尺で3丈物といい,礼装用の4丈物(八掛(はつかけ)付き)と区別する。染め着尺は12.5m,織り着尺やゆかたは11.5mほどが慣例。体位の向上もあって男物や女物の一部には40cm近い幅もあらわれた。反物には着尺のほか羽織用の羽尺(はじやく),長じゅばん地,コート地,帯地,袴地などがある。着物と羽織の揃いを対(つい)と呼び,以前は1疋(ぴき)(2反)の単位で作ったが,現在では羽織丈が短いためとくにアンサンブル地と称する反物を用いている。
執筆者:山下 悦子
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