クローブ油ともいう。モルッカ諸島を原産とし,熱帯地方に広く分布するフトモモ科のチョウジのつぼみが緑から黄を経て紅色になったころに採取・乾燥したもの(丁子,丁香,丁子香という)を水蒸気蒸留して得た油。主成分はオイゲノール(85~92%),アセチルオイゲノールアセタート(2~13%)で,そのほかセスキテルペン,カリオフィレン,ケトン類を含む。チョウジ自体は古代エジプトから香料として重用され,中国でも前漢以前から使用されているが,丁子油は殺菌作用,局部麻酔作用があるため,薬用,とくに歯科用に,また香料として歯磨き,化粧品,香水,菓子にも用いられる。オイゲノール,バニリンの原料となる。古くは刀剣の防錆油として用いられた。
執筆者:内田 安三
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