日本映画。1954年(昭和29)作品。黒澤明監督。戦国時代、野盗の襲来に悩む農民たちが武士を雇って村を守ろうとする。勘兵衛(志村喬(たかし))を指揮者とする七人の侍(稲葉義男(よしお)、加東大介(だいすけ)、千秋実(ちあきみのる)、宮口精二、木村功(いさお)、三船敏郎(としろう))は、農民たちを巧みに組織しながら、先頭にたって戦い、秋の収穫期をねらって襲ってきた野盗の群れを壊滅する。その戦いで7人のうち4人が死ぬ。「勝ったのは百姓たちだ。わしたちではない」という勘兵衛の述懐が、大地とともに生きる人間、つまり生産する人間こそが勝利者であるとする結論になる。戦闘場面では、複数のカメラと望遠レンズの効果的な使用、編集の緊密さによって、すばらしくダイナミックなアクション・シーンを生み出した。アメリカ西部劇の手法を日本の時代劇に生かし、さらに迫力を盛り上げた黒澤監督の演出力は世界的な評価を得、同年のベネチア映画祭で銀獅子(じし)賞を受賞した。また、この作品が翻案されてアメリカ西部劇『荒野の七人』(1960)がつくられたほか、多くの追随作品を生んでいる。優れた娯楽性と力強い叙事詩性とが混然と融合した、3時間27分の時代劇映画の大作である。
[品田雄吉]
西部劇のスケールの大きさを日本映画にとり入れた黒沢明監督の時代劇。1954年製作。脚本は橋本忍,小国英雄,黒沢明による集団創作(各自別々に書いたシナリオを総合する方式)。戦国時代,貧しい農民たちが7人の侍を雇い,野武士の襲撃から村を守る物語である。複数のカメラを駆使した〈マルチカメラシステム〉とともに望遠レンズを多用し,エイゼンシテインらのソ連のサイレント映画のモンタージュを思わせるダイナミックな編集によって迫力を盛り上げた戦闘場面がとくに高く評価され,〈アクション映画のリアリズム〉を確立した。〈人間の精神を描いた叙事詩〉としてベネチア映画祭(1954)の銀獅子賞を受賞。その影響力は大きく,〈西部劇〉の長い伝統をもつアメリカで,本格西部劇としてリメークされたジョン・スタージェス監督《荒野の七人》(1960),SFスペクタクル《宇宙の7人》(1979),戦争活劇《地獄の7人》(1983)等々,数々の模倣作品を生み,アクション映画の一つのパターンをつくるに至った。
執筆者:柏倉 昌美
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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