名前に〈房〉の字がつく3著名人。時代の違いにより前三房と後三房とがある。前三房は平安時代の摂関期から院政期にかけて活躍した藤原伊房(これふさ),大江匡房(まさふさ),藤原為房。伊房は名筆として有名な藤原行成の孫で書家として高名なだけでなく,後三条天皇,白河天皇に仕えて実務家としても腕を振るった。匡房は《江家次第》《遊女記》の作者として名高い学者で後三条天皇に仕えた実務官僚。為房も白河,鳥羽天皇のもとで活躍した。後三房は南北朝期の吉田定房,万里小路(までのこうじ)宣房,北畠親房。3人は後醍醐天皇の信任厚く,定房,宣房は正中の変,元弘の乱にも関与し,親房は《神皇正統記》を著し南朝の指導者として重要な位置を占めた。瑞渓周鳳は日記に前後両三房を〈皆本朝の博物の士〉であると記したが,両三房は学識者であるにとどまらず,政治史上でも大きな働きをしたことが共通している。
執筆者:清田 善樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…藤原行経の子,行成の孫にあたり,中納言で大宰権帥を兼ねた。家業となった書道(世尊寺流)をよくし,同時代の大江匡房,藤原為房とともに〈三房〉と称された。書蹟では前田育徳会蔵《北山抄》(巻三,巻七)と《十五番歌合》《藍紙本万葉集》などがあげられ,また真蹟の基準となる消息が東大寺にある。…
※「三房」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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