上司小剣(読み)かみつかさ しょうけん

百科事典マイペディアの解説

上司小剣【かみつかさしょうけん】

小説家。奈良県生れ。本名,延貴。大阪予備校中退。1897年,《読売新聞》に入り,同紙にエッセーを連載して文筆活動開始。1906年,雑誌《簡易生活》創刊,小説に着手。同誌には正宗白鳥や,幸徳秋水ら小剣周辺の社会主義者も寄稿。1908年の《灰燼》を経て,1914年の短編《(はも)の皮》が文壇出世作となる。関西の生活文化に根ざした小さな社会的ドラマを,人情の機微を的確に描きだしながら写生文のスタイルで提示するところに特徴があった。1942年,《伴林光平》で菊池寛賞を受賞。《木像》《父の婚礼》《U新聞年代記》《東京》など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

上司小剣 かみつかさ-しょうけん

1874-1947 明治-昭和時代の小説家。
明治7年12月15日生まれ。読売新聞社にはいり,徳田秋声,正宗白鳥,幸徳秋水らとまじわる。明治41年初の創作集「灰燼(かいじん)」を発表。「鱧(はも)の皮」で文壇での地位を確立。昭和22年芸術院会員。昭和22年9月2日死去。74歳。奈良県出身。本名は延貴(のぶたか)。作品はほかに「父の婚礼」「東京」など。

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世界大百科事典 第2版の解説

かみつかさしょうけん【上司小剣】

1874‐1947(明治7‐昭和22)
小説家。奈良生れ。本名延貴(のぶたか)。家は代々神官,父は摂津の多田神社の宮司。少年期に母が死去,父は第二,第三の妻を迎えた。この時期の体験がのち《父の婚礼》《第三の母》を生む。大阪に出て堺利彦に会い,そのすすめで上京。1897年読売新聞社に入り,以後二十数年にわたって在社,文芸部長,編集局長などを務める。《小剣随筆その日その日》(1905)は初期読売時代の寸言的,風刺的エッセー。おくれて読売に入社した正宗白鳥と親交,また堺利彦や幸徳秋水らとも交わり,その影響も若干受けた。

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大辞林 第三版の解説

かみつかさしょうけん【上司小剣】

1874~1947) 小説家。奈良県生まれ。本名、延貴。新聞記者から転身、「灰燼」「鱧はもの皮」で自然主義作家としての地位を確立。他に「木像」「東京」、回想記「 U 新聞年代記」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

上司小剣
かみつかさしょうけん

[生]1874.12.15. 奈良
[没]1947.9.2. 東京
小説家。本名,延貴。大阪予備学校中退。 1897年上京,読売新聞社に 1920年まで勤務。在職中,生活改良誌『簡易生活』を発刊 (1906) ,正宗白鳥,堺利彦,幸徳秋水,白柳秀湖も寄稿した。読売新聞社の編集局長兼文芸部長として自然主義文学者から社会主義者まで交友が広かったが,みずからはジャーナリズムの枠内に終始した。男まさりの料理屋の女将と道楽者で家出した養子との微妙な交情を描いた好短編『鱧 (はも) の皮』 (14) で作家としての声価を高め,長年勤務した読売新聞社を舞台にした『U新聞年代記』 (33) は,明治文壇裏面史を立体的に浮び上がらせ後期の代表作となった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

上司小剣
かみつかさしょうけん
(1874―1947)

小説家。本名延貴(のぶたか)。奈良市生まれ。家業は神主。大阪予備学校中退。代用教員を経て、1897年(明治30)、堺利彦(さかいとしひこ)の勧めで上京し読売新聞社に入社。編集局長にまでなり、1920年(大正9)退社。そこで、島村抱月(ほうげつ)、正宗白鳥(まさむねはくちょう)、徳田秋声(とくだしゅうせい)ら自然主義文学者を知り、堺を介して幸徳秋水(こうとくしゅうすい)、白柳秀湖(しらやなぎしゅうこ)ら社会主義者と交わった。この交友の広がりが、作風に自然主義文学にはない社会への目配りをもたらしている。小説の処女作は『灰燼(かいじん)』(1908)で東京・目黒の住民の生態を扱い、関西の商人が主人公の『木像』(1910)で注目された。大阪道頓堀(どうとんぼり)の料理屋の女将(おかみ)の生活を描いた『鱧(はも)の皮』(1914)で文壇的名声を得、翌年にかけて『天満宮』(1914)、『父の婚礼』、『太政官(だじょうかん)』、『お光壮吉』(1915)など佳作を発表。上方(かみがた)市井人の情調ものが得意であった。その後、力作に長編『東京』四部作(1921~47、未完)と、読売時代の見聞を戯曲風につづった『U新聞年代記』(1933)がある。46年芸術院会員。[吉田正信]
『『日本現代文学全集31 上司小剣他集』(1968・講談社)』

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