上田盆地(読み)ウエダボンチ

デジタル大辞泉 「上田盆地」の意味・読み・例文・類語

うえだ‐ぼんち〔うへだ‐〕【上田盆地】

長野県中東部、千曲ちくま中流の両岸に広がる盆地標高400~600メートル、面積約115平方キロメートル。水稲のほか果実野菜栽培発達。中心都市は上田市

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改訂新版 世界大百科事典 「上田盆地」の意味・わかりやすい解説

上田盆地 (うえだぼんち)

長野県東部にある上田市を中心とした小盆地。盆地は南東から北西に流れる千曲川によって地形的に東西に二分される。東部は狭義の上田盆地で,北辺には太郎山断層崖が走り,また盆地の南寄りを流れる千曲川には3段の段丘が発達している。上段は染ヶ丘段丘と呼ばれ,支流の神川の旧扇状地面の堆積物もあって面積が広く,条里制遺構の水田が分布している。近年その水田の中から,信濃国府跡と思われる遺跡が発掘されたが,確認されていない。上田の中心街は中段から下段にかけて立地し,上田城は千曲川のはんらん原に臨む下段の末端にある。市街地の東端には8世紀に建てられた国分寺(跡は史跡)と国分尼寺の遺跡が発掘されて,現在史跡公園になっている。盆地東部の段丘上は,灌漑の便のよいこともあって,水田として利用される地区が多いが,第2次世界大戦後都市化が進んでいる。太郎山断層崖下に発達した扇状地群や烏帽子火山麓では,リンゴ,ブドウなどの果樹園やクルミ園が多い。集塊岩の独鈷(どつこ)山や夫神岳に囲まれた盆地の西部は塩田平と呼ばれ,産川,浦野川など小河川の複合扇状地で,隆起しているため段丘が形成されている。塩田平でも古代の条里制水田が広く分布しており,開発の歴史は古い。川の流域面積が小さいことから流水量が少なく,大小100をこえる溜池がつくられている。山麓の水の不便な畑地では,ブドウなどの果樹のほか,チョウセンニンジンの栽培が行われている。上田市内の町屋のほか,農家でも白壁,瓦ぶきの立派な住居が多いが,これは江戸時代から蚕種業を営む豪農が多かったためである。典型的な内陸性気候で夏季の気温が高く,また本州では最寡雨地の一つで年間900mm程度のため,ブドウなど果実の品質は大変よい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上田盆地」の意味・わかりやすい解説

上田盆地
うえだぼんち

長野県中東部、千曲川(ちくまがわ)に沿う上田市街地を中心に、千曲川の両岸にまたがる盆地。従来は小県盆地(ちいさがたぼんち)といわれた。標高は約400~600メートルほどで、千曲川を挟んでこの西側(左岸)は塩田平(しおだだいら)とよばれ、小河川の沖積地からなる低平な地域をなす。東側(右岸)は烏帽子火山(えぼしかざん)(2066メートル)の泥流からなる火山山麓(さんろく)が大部分を占める。後者は北陸新幹線、しなの鉄道、国道18号、上信越自動車道などが通り、18号に沿って工場や飲食店が進出し、都市化が進んでいる。塩田平は幹線交通路より離れているので、水稲と果樹を中心にした純農村地帯である。年平均気温は12℃を超え、信州では温暖な地域の一つである。年降水量は1000ミリメートルに達せず、溜池(ためいけ)が多い。夏は内陸性のためかなり高温になる。歴史上では古代信濃国府(しなのこくふ)が千曲川右岸、上田市街地東郊に置かれ、東山道(とうさんどう)も通り、開発は早かった。

[小林寛義]

『清水利雄著『上田盆地歴史年表』(1963・上田市)』『『郷土の地誌上田盆地』(1968・上田市立博物館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上田盆地」の意味・わかりやすい解説

上田盆地
うえだぼんち

長野県中東部,千曲川の中流域にある盆地。標高 400~600m。千曲川の右岸は烏帽子岳火山の山麓と扇状地面で緩傾斜をなし,左岸は塩田 (しおだ) 平と呼ばれる台地。典型的な内陸性気候で夏季は暑さがきびしく,降水量は年 1000mm前後と少い。山麓の扇状地面では米作とクルミ,ブドウ,リンゴの栽培,左岸では米作が中心で,薬用ニンジンを特産。開発は古く,奈良時代には信濃国府,国分寺がおかれた。国分寺跡は史跡。塩田平の周辺山麓部には中世の禅寺が多い。中心都市は上田市。

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