日本一の長さを誇る全長367キロの信濃川のうち、長野県側の約214キロを指す。1896年の旧河川法制定による河川指定により長野県側を千曲川、新潟県側を信濃川とした。国土交通省によると、川が千の数ほど曲がっている様子から名付けられたが、神々の戦いで流された血潮が辺り一面隈なく流れたため「血隈川」と言うようになった、との伝説もある。過去にも大洪水に見舞われ、1742年8月に発生した洪水は近世以降最悪といわれ、千曲川流域で死者約2800人が出たとされる。
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日本海に注ぐ
とある。中世に及んでは「吾妻鏡」「源平盛衰記」「平家物語」などには「筑摩河」または「筑摩川」と載せ、「明月記」安貞元年(一二二七)条に当時信濃の国務をみていた藤原定家に、その使者が「ちくま河大河也、国中を廻り流る」と報告している。元亨元年(一三二一)一〇月、市河盛房の
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信濃川上・中流部,長野県下を流れる部分の名称。秩父山地の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に源を発し,長野県の東部を北へ流れ,最大の支流犀(さい)川と長野盆地で合流し,信越国境で信濃川と名を変え,新潟県に入る。長野県内の総延長214km。明治時代以前は,魚野川が合流する新潟県長岡市の旧川口町までを千曲川と称した。千曲川の流域には,佐久盆地,上田盆地,長野盆地,飯山盆地があるが,いずれも肥沃な農耕地域になっており,佐久・飯山盆地では水田が,上田・長野両盆地はリンゴやブドウ,モモの果樹園が多い。
長野盆地北部では河川敷の幅は1kmにも達しているが,これは大洪水のたびに流路が変わったためで,このため河川敷と沿岸の耕地の一部を集落の共有とし,浸食(川欠(かわかけ)という)があれば残った農地を再分割し,起返(おきがえり)といって新しい開墾地が得られれば分割して利用した。これを割替(わりかえ)制度といい,土地を地割慣行地(割地・地割)と呼んでいる。このような土地制度は,千曲川の水害常襲地帯である長野・飯山両盆地に現在も維持されている。
千曲川では上田から信越国境に近い西大滝(飯山市岡山地区)までの間,通船が運航されていた。舟運は鉄道開通とともに順次廃止されていったが,第2次大戦後まで一部に残っていた。沿岸には電子・自動車部品,印刷,製糸工業が発展して内陸工業地域をつくっている。
執筆者:市川 健夫
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信濃川(しなのがわ)の長野県内部分の呼び名。一級河川。長野県内の延長は214キロメートル、流域面積は7163平方キロメートル。山梨・埼玉・長野の県境にある甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)から流出し、佐久・上田・長野盆地などを形成し、新潟県に入って信濃川となる。佐久盆地では湯川と鹿曲(かくま)川、上田盆地で依田(よだ)川と神(かん)川、長野盆地で犀(さい)川、鳥居(とりい)川などと合流する。佐久盆地から上流は渓谷をなし、水力発電所もあるが、上田・長野盆地では勾配(こうばい)もなく河幅も広い。最上流部の長野県川上(かわかみ)村は高原野菜栽培で知られる。佐久・上田・長野の三盆地は米作や養鯉(ようり)、リンゴ栽培などのほか、工業化が進んでいる。
近世末期には飯山(いいやま)市から長野市松代(まつしろ)までの通船が始まった。『万葉集』には筑摩川(ちくまがわ)として詠まれ、以来多くの古歌にみられる。近代になっても島崎藤村(とうそん)の『千曲川のスケッチ』をはじめ、志賀直哉(なおや)、有島武郎(たけお)、佐藤春夫、尾崎喜八などの作品に登場する。なお、川原での「つけば」とよばれるウグイ料理は初夏の風物詩である。
[小林寛義]
『市川健夫著『千曲川・信濃川』(1973・信濃路)』
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出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
…長野県東部にある上田市を中心とした小盆地。盆地は南東から北西に流れる千曲川によって地形的に東西に二分される。東部は狭義の上田盆地で,北辺には太郎山断層崖が走り,また盆地の南寄りを流れる千曲川には3段の段丘が発達している。…
※「千曲川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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