四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「下部消化管X線造影検査」の解説
下部消化管X線造影検査
大腸の病気を調べる最初の検査です。肛門に麻酔入りのゼリーを塗り、バリウムを注入する管を挿入します。痛みはないので安心して受けてください。
大腸がんの診断に有用な検査
大腸がんの症状は、血便や便通異常、腹痛などです。とくに血便は重要で、肉眼でわかる血便や、便潜血反応(→参照)で初めてわかる目にみえない血便まであります。
これらの症状や便の変化で大腸の病気が疑われた場合、初めに行うのがこの腸の造影(バリウム)検査です。食生活の欧米化などに伴い、我が国でも大腸がんが増加しているため、ますます重要性を増す検査となっています。
大腸がんのほか、大腸のポリープや潰瘍(クローン病、潰瘍性大腸炎)・結核、
大腸がんはバリウムをはじく像
大腸がんは、大腸全体にできますが、図に示した直腸からS状結腸にできるがんが30~40%を占めます。
大腸がんは、バリウムをはじく腫瘍像として写ることが多く、進行すると腸の内腔が狭くなり、リンゴをかじったときの残った芯のような形(アップルコアサインという)になります。
■大腸がん
マルで囲った部分が狭くなってくびれ、アップルコアサインを示している。
大腸の中をきれいにして検査
検査前日は朝昼晩、特別なスープ(低
検査着に着替え、腸の運動を止める筋肉注射をします。検査台に左を下にして横になり、まず痔などを確認するため、肛門を診察します。
次に、バリウムを注入する管を肛門から約10㎝入れ(肛門に麻酔薬入りのゼリーを塗るので、痛みはほとんどない)、造影剤を約300mℓ注入し、さらに空気を入れます(おなかがはるが我慢する)。注入後、上向きになり、マジックバンドで体を検査台に固定し、透視台を何回か回転しながら、写真を撮ります。直腸から盲腸まで、全部で10~15枚撮影し、20~30分で終了します。痛みはありません。
検査後はしっかりと排便を
緑内障、前立腺肥大症、心臓の病気の人は検査前に申し出ます(→参照)。検査後はしっかり排便してください。水分は多めにとりましょう。筋肉注射のため検査後2~3時間、尿の出が悪いこともあります。
高齢者の場合は、前処理から検査までの時間が長いので、家族のつき添いが必要でしょう。
疑われるおもな病気の追加検査は
◆大腸がん→下部消化管内視鏡(生検)、 腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)、PET-CTなど
◆大腸結核→ツベルクリン反応、下部消化管内視鏡(生検)など
医師が使う一般用語
「ちょうバリ」「ちゅうちょう(ぞうえい)」=バリウムを使う腸の検査、バリウムを注入して行う腸の検査から
出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報