不動産(土地および家屋)の取得に対し,地方税法に基づきその不動産所在の道府県において,その取得者に課する地方税。古くから地方税の雑種税として存続していたが,1950年の税制改正でいったん廃止され,現行の道府県税としての不動産取得税は54年に創設された。法人,個人を問わず,不動産を取得したすべての者が納税義務を負う。取得の原因は,有償,無償のいずれの場合をも含み,また,売買,贈与といった承継取得のみならず,家屋の新築,土地の造成等の原始取得も含まれる。ただし,相続,法人の合併等による形式的な移転は含まれない。課税標準は,不動産を取得した時点の不動産の価格であり,固定資産課税台帳に価格が登録されているものについては,原則として,この登録価格がその不動産の価格とされる。なお,日本の住宅事情に配慮して,新築あるいは中古の住宅のうち一定のものについては,課税標準となる価格を減額して税負担を軽減している。標準税率は4%であり,道府県が標準税率を超える税率で不動産取得税を課する場合には,あらかじめ自治大臣に対して届け出なければならない。なお,住宅の取得が,1981年7月1日から98年6月30日までの間に行われた場合には,課税標準・税額軽減の特例として,(1)住宅の取得にかかる標準税率を3%に引き下げ,(2)土地を取得した者が一定期間内にその土地の上にある住宅を取得した場合には税額の1/4に相当する額を減額する,という暫定措置が講じられた。土地のうち10万円未満のもの,建築により取得した家屋のうち23万円未満のもの,その他の家屋のうち12万円未満のものは,それぞれ課税されない。
執筆者:藤原 啓司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
道府県税の一つで、土地または家屋の所有権が移転する場合、またはこのような権利を原始取得した場合に課する税。この税は固定資産税(市町村税)の一部先取りであるとする考え方もある。通常、不動産の取得時には大きな担税力があるとされ、その時点で一部まとめて負担させるのが、その分だけ固定資産税を引き上げて徴収するよりも適切であるとする考えに基づくものである。不動産の取得とは、不動産の所有権の移転であって、それが有償であると無償であると、またはその取得原因が売買、交換、贈与などによろうと関係がない。納税義務者は不動産の取得者であり、課税標準は不動産取得時の不動産の価格(ただし一定の控除や免税点が設けられている)、標準税率は4%である。
[中野博明]
出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…また土地租税には,土地の売買によって実現するキャピタル・ゲイン(資産の値上がり利益)の一部を公共に還元させることによって所得の再分配を進める機能もある。租税は一般的に所得税,流通税,財産税に分類されるが,日本の現行の土地租税には譲渡所得税(所得税),不動産取得税・登録免許税(流通税),固定資産税・都市計画税・特別土地保有税・相続税・譲与税および新設の地価税(1992年施行)(財産税)などがある。これらのうち財産税は,土地を所有することに対して,その土地の市場価格に一定率を乗じた額を課税するものであり,土地所有者はこの税がかけられると税負担に耐えるために土地を手放すか,あるいはみずから土地の有効な利用を進めなければならなくなるから,いずれにしても土地市場における供給促進の効果が期待できる。…
※「不動産取得税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新