狂牛病(読み)きょうぎゅうびょう

百科事典マイペディアの解説

狂牛病【きょうぎゅうびょう】

正式にはウシ海綿状脳症BSE)。ウシが脳障害をおこす病気で,プリオンという特殊な感染性タンパク質が体内に入り感染する伝染病。1986年に英国で初めて確認された。この狂牛病のウシを人間が食べて,ヒトのプリオン病であるクロイツフェルト=ヤコブ病(CJD)が発生したのではないかとの疑いで問題となった。CJDの症状は,脳などの神経障害,認知症(痴呆),運動障害,けいれん,麻痺などで,発症後通常1〜60ヵ月で死亡し,現在のところ有効な治療法はない。1996年3月,英国保健相が人間への感染の可能性を認め,英国政府が牛肉の一時販売禁止を決めたことからEUも英国産牛肉の全面禁輸を決定。消費者の牛肉離れが各国で広まり,食肉業に深刻な打撃を与えた。日本では1996年から輸入牛肉の原産国表示を義務づけ,生体牛,加工品などについても輸入禁止措置を継続していたが,2001年9月に日本国内では初めて,千葉県で狂牛病と判断されたウシが発生(2006年5月までに27例発生)。政府は2001年10月から食肉処理されるすべての牛についてBSE検査をする全頭検査を実施。感染源と疑われる肉骨粉(家畜の骨や内臓などを原料とする飼料)の輸入・流通・使用を全面禁止した。2003年12月米国でもBSE感染牛が確認され,政府は直ちに同国産牛肉の輸入を停止した。米国は2005年6月に感染牛の2例目を発表。内閣府の食品安全委員会は2005年12月,全頭検査の対象から生後20ヵ月以下の牛を除外する新規準を容認する答申を出し,それをふまえて日本政府は同月,月齢20ヵ月以下に限定して禁輸措置を解除した。しかし2006年1月に輸入された米国産牛肉に危険部位混入が確認されたため,再び直ちに輸入手続を停止した。日米両国の協議の結果,2006年7月禁輸措置を解除。
→関連項目牛肉食育基本法食品安全基本法世界食糧サミット溶血性尿毒症症候群

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世界大百科事典内の狂牛病の言及

【クロイツフェルト=ヤコブ病】より

…この病気は,患者の脳を乳化してチンパンジーなどの動物に接種することによって伝播可能であり,患者から角膜移植を受けた者,ヒト下垂体より調製された成長ホルモンの投与を受けた者などにも発症がみられる。本症はプリオンと呼ばれる因子により伝播し,このような疾患はプリオン病と総称されるが,最近は牛のプリオン病である牛海綿状脳症(狂牛病)からヒトへの伝播もありうると考えられており,社会的にも大きな問題となっている。【水沢 英洋】。…

【プリオン病】より

…プリオン病とは,プロテアーゼ抵抗性の異常プリオンタンパク質が脳に沈着することにより生ずる疾患の総称であり,ヒトのクールークロイツフェルト=ヤコブ病(CJD),ゲルストマン=ストロイスラー=シャインカーGerstmann-Straussler-Scheinker症候群(GSS),羊のスクレイピー,それがミンク,牛,猫に伝播した伝播性ミンク脳症,牛海綿状脳症(狂牛病),猫海綿状脳症などが含まれる。病理所見より伝播性海綿状脳症とも呼ばれる。…

※「狂牛病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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